エピローグ
「あ、雪」
「ほんとだ」
「ホワイトクリスマスね。何年ぶりかなあ」
彼女が空を見上げて、ハアーと白い息を吐く。
ここに雪が降っているということは、
当然すぐ隣のランドの方にも降っているんだろう。
俺の知る限り、ずっと女っ気がなかった組長が、
去年いきなり結婚した。
しかも18歳の息子がいる女とだ。
それだけでもかなり驚きなのだが、
なんとその息子は、正真正銘組長の子供だという。
一体18年前に何があったのか・・・
とにかく、そんな組長と奥さんと息子達が今日はランドにいる。
だから俺達は遠慮したのだ。
「じゃあ、篤志は小さい頃、うちで一緒に暮らしてたのね?」
「うん。美優の3歳の誕生日の後、すぐに廣野家に引越したから、1ヶ月くらいだけどな」
「そうだったんだ・・・私、全然覚えてない」
「そりゃそうだろ」
俺は、首を傾げる美優を見て苦笑した。
美優とはあれ以来一度も会っていなかったけど、
1ヶ月ほど前に偶然再会した。
美優は俺のことを覚えておらず、
俺が引くと思って、
今や廣野組の幹部であるコータさんの娘であることを隠していたつもりのようだ。
でも、俺は一目見てあの「美優ちゃん」だとわかった。
だって昔の愛さんにそっくりだ。
あの頃は、まさか本当に美優と付き合うことになるとは思っていなかった。
俺は小学生だったし、美優はまだ3歳だったもんな。
だけどこうして15年ぶりに再会して、
ここで一緒に空を見上げている。
不思議なものだ。
「パパが私達のこと知ったらなんて言うかな?」
「・・・こわいなー」
「ふふ。大丈夫。私に任せて」
美優が不敵に笑う。
相変わらず、コータさんは美優には手を焼いてるようだ。
廣野家に引越してからもずっと、俺は気持ちの上ではコータさんの家族だった。
コータさんも、まるで兄のように、そして父親のように俺に接してくれてきた。
だけど。
「ねえ、あれ乗ろう!」
美優がウォータースラーダーのような乗り物を指差す。
「この寒いのに?」
「いいじゃない!行こう!」
美優は俺の腕を引っ張って歩き出した。
コータさんと俺。
もしかしたら、いつか本当の家族になる日が来るかもしれない。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ご興味がある方は本編の「18years」もご覧ください。




