表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/42

もう夢は見ない

本日5回目の投稿です

パーティーから一週間が経った。

この日、新聞を見ながらコリンヌとライザと私は、いつものようにカフェにいた。


ブルーノが早変わりメガネを探して沢山の古道具屋を回ってくれて、なんとか同じ顔のめがねを見つけて来てくれたおかげだ。

ブルーノいわく、20件回って1本しかなかったそうだ。



「まさか、みんな同時に婚約するとはね」

ライザが笑いながら言った。


「クロはずるいよ。そのメガネをつけた状態でしばらくパーティーを楽しんでたんだから、参加者はメイベルがどこにいるか全くわからなかったのよ。クロの正体を知っているのは私達だけだもの」

コリンヌも笑っている。



私はパーティーを思い出した。


パーティー会場では、このメガネをかけてブルーノとダンスをしたりしていた。

そのためフローラがやってきて、

「貴方みたいな庶民が来ていい場所じゃないのよ!ブルーノは私と結婚するの」

と言って私とブルーノの間に無理矢理入ってきた。

そして、ブルーノの腕を無理矢理掴み、どこかに連れていこうとした。

しかも、両親まで出てきて大騒ぎをした。



パーティーの最後のほうで、ブルーノのスピーチがあった。


そのスピーチの時だった。

メガネをかけたままの私を壇上に上げた。

そして膝を突くと、立ったままの私の手を取った。


「スズ、君と会った時から、メイベルとは違う魅力を感じていた。君を愛する気持ちを抑えられなくなってしまった。どうか結婚してください」


突然のサプライズのプロポーズにびっくりして、私はブルーノに抱きついた。


「はい!もちろんよ!」


この返事にフローラは激怒して壇上に上がってきた。

私に文句を捲し立てる。

このままでは大きな混乱が起きると思って、私はメガネを外した。


会場からは歓声が上がったが、フローラは本当の私の顔を見て、その上メイベルは他国の王女の地位だった事を知り、青くなっていた。


この後、フローラの両親であるノイル伯爵夫妻が私達に近づこうとして、メイベルの護衛に止められて暴れていたために、その後、社交界では相手にされなくなったようだ。



招待客の中にはライザが勤めるカフェのオーナーであるハミルトン伯爵未亡人も来ていた。


彼女が参加するという事で、カフェの常連である侯爵夫人や、伯爵など、普段社交界には顔を出さない政治や財界の有力者も顔を出した。


当然、主催者である私もスピーチしなければいけない。

そのスピーチの際には、友人としてライザやコリンヌとその婚約者も紹介した。


ライザは沢山の有力者達に囲まれていて、しかもほぼ全員がカフェの常連だった。


それを見たイデオン・サーストンは、ライザの勤めるカフェの常連が大物ばかりだった事を知り、サーストン伯爵家がどこからも相手にされなくなった理由を知ったようだ。

そのため友人達に「ライザと婚約すればよかった。あいつは俺に惚れていたのに」と言っていたようだ。


サーストン伯爵は、アバーエフの祝賀会でのジャロフ子爵夫人の騒ぎの時に、何故ちゃんと謝らなかったのかを大きく後悔しただろう。

アバーエフの祝賀会で、ブラクストンホテルのただのマネージャーが、「アバーエフの祝賀会を禁止する」と言った時、たかがマネージャーになんの権限があるんだと思っていたようだ。


しかし、そのただのマネージャーだと思っていた人物が、ブラクストンホテルの後継者だった。

しかも、ジャロフ子爵夫人が罵倒したライザのバックには有力者が沢山いる。

相手が悪かったでは済まされない事態になっており、パーティーでライザに近づこうとしたが、色々な人によってブロックされて近づけなかったようだ。




「パーティーは無事成功したわ。次は誰の婚約パーティーかしら?」

そう言って3人で笑った。


「みんなの目の前でそのメガネを外したのに、何故相変わらずそのメガネをかけて出かけても誰にも気が付かれないのかしら?」

コリンヌはクスクス笑いながら疑問を口にする。


「それだけ、このメガネの顔が認識しにくいんじゃないの?」

私が答えると2人は大笑いした。



あれから前世の夢は見ない。

メイベルも夢には出てこなくなった。



しばらくして私はブルーノの宮殿に引っ越しした。

魔法世界の引っ越しというのは空間ごと引っ越すようで、メイベルの部屋がブルーノの宮殿に移った。


そのため、自分の部屋で寝ると毎日リトルに起こされる。

リトルの正体は、本当にゴーストなのか不明のままだ。

まあ困らないからそのままにしておく。


そして、見た目がパグのような小間使い妖精のウィラーとベリーも私のお世話をしてくれる。


あの、鏡の中の秘密の部屋は、部屋の中の資料をブルーノと2人で運び出して、燃やしてしまった。

そして部屋にあったメイベルの子供の頃の写真は、ブルーノの家族写真と共に今はサロンに飾ってある。

だから、秘密の部屋は今は空っぽだ。


これからは、私とブルーノ、2人の秘密で部屋をいっぱいにするつもり。


連続投稿してすいませんでした。

これで完結となります。

ちょっとミステリーっぽいものを書いてみたくて頑張りました。

おもしろいと思っていただけると嬉しいです。


本編には書きませんでしたが、涼木鈴である主人公が亡くなった後、その死の真相を同期の村瀬くんが探してくれます。


それを匂わせて終わりました。

匂わせられたかな?


なんとかこんな感じでお話は終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ