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ブルーノは宮殿に住んでいた!

ブルーノはにっこり笑って無視を決め込んでいる。


スモークがかかった窓から外を見ていると馬車は高級住宅街に入ってきた。

どの家も高い塀と、豪華な門がある。


その中の1つの家に馬車は入って行った。


「もしかしてブルーノって、すっごいお金持ち?」

「つい最近、資産や爵位を相続したんだよ。最近、金持ちになったんだ。だから、それまでは普通の生活をしていたよ」


まるで宮殿みたいな建物だ…。


馬車が止まると、沢山の使用人が出迎えてくれた。

「メイベルがしばらく滞在するので部屋の用意を」

ブルーノは私の腰に手を回して、室内へと案内してくれた。


何ここ!!

豪華すぎる!!

映画で見るお城じゃないの。


天井はどこまでも高く、窓から見える庭園は管理が行き届いており、豪華な照明が柔らかな光を演出していた。


濃紺の絨毯はワタクシメの足なんかに踏まれたくないとでも言っているかのように弾力が強い。


そして、ブルーノは豪華なサロンに案内してくれた。

やっぱり映画の世界だ……。

メイベルのアパルトマンも豪華だと思ったけど、ここは桁違いだ。


私の視線があちこちに動いている間にお茶が出てきた。

香り高いハーブティーだ。


「ブルーノは最近相続したって言ってたけど、これって並のお金持ちではないよね?」

するとブルーノは笑った。


「メイベルも相続した資産と、自分で稼いだ資産があるよね。だからメイベルの方が、もしかしたら俺より金持ちかもしれないよ?」

その一言に衝撃を受ける。


「メイベルってそんなお金持ちなの?」

びっくりして声が裏返った。

お金はあの秘密の部屋に無造作に箱に入れられていただけだし。


「そう。そこなんだけど、メイベルみたいな有名人になると顧問弁護士がいるはずだからすぐに調べさせる。それから、あのリストにあった名前の人物や、ヴェロニカについても」

そう言ってブルーノは優雅にお茶を飲んだ。


「わざわざクロが変装して図書館に通わなくてもいいよ。もしもの事があったら困る。メイベルは命を狙われていたんだからね」

ブルーノの心配は最もだ。


ちょっと反省。

なんだか一生懸命になりすぎていた。

前世でもこんな事があった気がする。


うーんと思い悩んでふと顔を上げた。


視界に入ってきたのは優雅にお茶を飲むブルーノだ。

自分のいる所を思い出す。今はメイベルのことを考えよう。

私もお茶を飲んで外を眺めた。


「ブルーノ、ありがとう」

「気にする事ないよ。そうだ、ラブラから連絡が来ていた。明日、もう一度ラブラに会おう」

私はブルーノを見て微笑んだ。


自分では出来る事が限られている。

メイベルはどうやって調べていたのかな?


夜、ディナーを食べてから、ブルーノが部屋に案内してくれた。

「また明日」

そう言って額にキスを落としてから戻って行った。

私の部屋の前から去って行くブルーノを見て、なんとなく名残り惜しく思ってしまった。


外国人って知り合いだったら頬にキスするだろうしね。

気にしすぎなのかもしれない。


前世、恋人はいなかった。

でも、学生時代のバイト先や、勤務先の同期など異性と仲良くするのが苦手なわけではない。

恋人のような曖昧な関係になった事も多い。

でも、関係を壊したくなくて、いつもなんとなくはぐらかしていた。


ブルーノの態度には振り回される。

この日は消化不良のまま眠りについた。



次の日、ブルーノと共に会員制のレストランに向かった。

やはりパパラッチを警戒しないといけない。


「今日の馬車は魔道具で外からは見えなくしたから大丈夫。

帰りは気をつけないといけないけど。大丈夫だよ。パパラッチに漏らしたら機密事項漏洩で、契約不履行になるって伝えたから」

ブルーノはそう言ってニヤリと笑った。


今日もまた、メインクローゼットに圧倒的にゴージャスなドレスを出してもらった。

前回のドレスとは違い、総レースでしかも手織り。

それが幾重にも重なった繊細かつゴージャスなドレスを纏った。


そして長椅子に寝そべるように腰掛けて、足を組む。

普通に座ったら背筋を伸ばして両手を膝の上に置いてしまう涼木鈴のクセが出そうで怖いから。


今日も私は居るだけ。

そのつもりで口は出さない。


しばらくするとラブラが入ってきた。

「この仕事を任せて貰えて光栄だわ。これが、パーティーの計画書よ。事前に伺った通り、完成した魔道具のお披露目と、新しい魔道具製作の資金集めのためのチャリティーオークションね」

そう言って、いそいそと計画書をブルーノに渡した。


ブルーノはそれを見ながらラブラに質問していく。

「この計画書だとかなり広い会場が必要だがアテはあるのか?」

「今の段階ではメイベルの名前が出せないからまだ打診してないけど、今は誰も住んでない往年の映画監督であるアーサー所有の迎賓館を借りようと思っているわ」

私は二人のやりとりをじっと聞く。

もちろん。アーサーが誰かなんて全くわからない。


「ほう!なるほど。たしかにアーサー伯爵なら、メイベルのために貸してくれるかもしれないな。では招待客は?」

ブルーノは顎に手を当てて考えている。


「貴族の称号を持つ方や、貴族ではなくてもお金持ちの方々……俗にセレブと呼ばれている方々に招待状を送るつもりですわ」


「お願いします。では、私からも招待客に関してお願いが。まず、魔道具に関わる仕事の方にも招待状を送ってほしい。

それから、私は過去、聖クリチャード学園で教鞭を取っていました。だから、当時の学園の関係者や生徒で頑張っている人や成果を上げた人も呼んでください」


ブルーノはラブラに疑念を持たれることなく、当時の関係者も呼ぶように言ってくれた!

さすが研究所の社長になるだけある!

交渉力もあるのね。


ブルーノの希望について、ラブラはメモを取る。


「招待状の送り先についてリストアップが終わればこちらに送ってください。それから、招待状にはメイベルの名前を出して構いませんが、どのような招待状にするのか見せてください。発送はこちらで行います」

その言葉を聞いてラブラはちょっと動揺した。


「発送もお任せ頂ければこちらで致しますよ」

ラブラは下手に出ている。

確かにリストアップしてもらったならそのまま送ってもらえばラクじゃないの?

外注しちゃった方がいいのに。


「いえいえ。誤発送で、招待客ではない方に間違って届いたら大変です。例えば……パパラッチとか?ですからこちらで行いますよ」

ブルーノは笑顔でラブラの申し出を断った。


メイベルの名前が入った招待状。

きっと皆ほしいに決まっている。

それを誤発送と称してラブラの関係者に送られては困るのね。


「わかりましたわ。ではそのように致します」

ラブラの声は少し沈んでいた。

そうしてラブラは帰って行った。

今日は本当に一言も話さずに終わってしまった。


ラブラが出て行った後、ブルーノは長椅子に足を投げ出して座っている私の横に来た。

「では、美しき我が姫」

そう言って、騎士のように片膝を付き、私の指にキスを落としてから悪戯っぽく笑った。


「もう!遊んでないで帰ろう?」

私の提案にブルーノは私を抱き上げた。

「ちょっと!」

そんな私を見てブルーノは笑う。


「メイベルはあまり動揺しない人だったから面白いな」

そう言いながら、お姫様抱っこで馬車に連れて行かれた。


「多分、今頃、君の顧問弁護士が判明しているはずだから急いで戻ろう」

そうしてブルーノの屋敷……嫌、宮殿に戻って連絡を待った。


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