聖徳太子ゲーム
Aがボケ
Bがツッコミです
A「皆様、このコロナ禍で辛い経験をされた方も多いことでしょう」
B 頷く
A「大変な苦労で心が折れそうになった方も多いことでしょう」
B 頷く
A「でもそんな時、救いになるのは昔の偉人の言葉かもしれません」
B 頷く
A「聖徳太子は言いました。『もう大概にせい!』」
B「えぇ!? ちょ、ちょっと待って」
A「どないした?」
B「どないした?やないわ。何や『もう大概にせい!』って。励ます言葉やないし、第一、聖徳太子そんなこと言うてへんやろ」
A「歴史は研究によって日々更新されとんのや。聖徳太子にしても今の教科書では厩戸王(聖徳太子)になっとるし、数年後の教科書では厩戸王(もう大概にせい!)になってるはずや」
B「ないないない。どんな研究すれば聖徳太子が『もう大概にせい!』なんて言うたことになるんや」
A「無能な上司にイビられとったからや」
B「なんで上司を無能って決めつけんねん」
A「じゃあ聖徳太子と聞いて何思いつく?」
B「そら10人に同時に話しかけられても全部聞き分けたとか、17条憲法とかやな」
A「せやな。でも、もし聖徳太子の上司が20人の話を同時に聞き分けたとか、108条憲法作っとったら聖徳太子は歴史から消えとったと思わんか?」
B「待て待て。20人の方はええけど憲法の評価は数とちゃうやろ」
A「そうか? でも大ベテランの漫才師がネタの数極端に少なかったら、『おや?』って思うやろ?」
B「やめろー!」
A「あの人ら50年やってんのにネタ全部で17個やて。3年に1個しか…」
(途中遮って)
B「みなさーん! 今のはコイツの個人的な意見です。私はそのようなことは一切思っておりません」
A「……ならそれでええけど聖徳太子が上司より有能だったことは認めてくれ」
B「ええわええわそれで。でもだから何やねん」
A「お前、超出来る男が部下だったらどうする?」
B「はぁ?」
A「ピンとこんなら後輩がM1でチャンピオンになったらと言えば想像しやすいやろ」
B「なるほど、それやったらまず祝勝会開くやろな」
A「その後は?」
B「その後?」
A「後輩をダシに合コンとかやりまくるやろ?」
B「お前はゲスか?」
A「やらへんの? 合コン」
B「いや、こんなご時世だし、やるとは言えへんけどね」
A「じゃあ、もしやったとしたら、連れて来た女の子の前で後輩らにネタやらせるやろ?」
B「何の話やねん。聖徳太子どこ行った」
A「一緒や。聖徳太子も上司の命令で行きたくもない合コンに行っとたんや」
B「全部お前の妄想やろ」
A「でも聖徳太子のアダ名の厩戸王って馬小屋の前で生まれたからやろ? だいぶ強めにイジられてるやん」
B「厩戸王ってアダ名か?」
A「アダ名やろ。お前、自分の子供がバイク屋で生まれたらバイク王って名前つけるか?」
B「……バイク屋では産ません。病院で産ませる」
A「……産む産まんは聞いてへん。名前を付けるか付けへんかや」
B「そら付けへんけど」
A「やろ? ほんで聖徳太子は厩戸王ってアダ名で呼ばれ、行きたくもない合コンに行って、やりたくもない芸をやらされ、ある日とうとう『もう大概にせい!』ってキレたんや」
B「無理ありすぎるわ」
A「だったらお前聖徳太子やって。俺上司やるから」
B「何でやねん」
A「さぁ今週も始まりました聖徳太子ゲーーム」
B「ちょちょちょ!何や聖徳太子ゲームて」
A「10人が別々の言葉言うて聖徳太子が当てるゲームを上司が合コンでやっとんのや」
B「何やそれ」
A「で、やるの? やらへんの?」
B「やったるわ」
A「では、気を取り直して始めましょう。今週の罰ゲームは小野妹子さんからのリクエストで大量の鹿の糞を落としまーす」
B「うわ最悪や!妹子のヤツ覚えとけよ」
A「まずはレベル1。この人達が同時に言った言葉を全てお答え下さい」
(以下、Aが声と人相、背格好を変え可能な限り早口で)
「法隆寺」
「五重の塔」
「東大寺」
「大仏」
「古墳」
「遣隋使」
「遣唐使」
「平城京」
「蘇我氏」
「もののけ姫」
B「えぇ!?」
A「さぁ、答をどうぞ!」
B「……法隆寺、五重の塔、東大寺、大仏、古墳、遣隋使、遣唐使、平城京、蘇我氏、……もののけ姫?」
A「残念! おしい!最後の答えは、もののけ姫ではなく物部氏でした。はい罰ゲーム。鹿の糞をぶちまけて下さい」
B「うわーっ!クサー!なんでや!もののけ姫言うたやろ!」
A「言うわけないやん。奈良時代にアニメ無いし」
B「ぐぬぬ」
A「どや? あのセリフ言いたくなったやろ?」
B「うぐぐ」
A「ほら言わんかい『もう大概にせい!』って」
B「……いや言わん」
A「何でや?」
B「言うわけないやろ。奈良時代にこんなゲーム無いし!」
A「う~ん。バレたか」
B「何がバレたかや。デタラメばっかり言うて。ちゃんとお客さんに謝れ」
A「分かったわ。 (客席に向かって)すんません訂正します。聖徳太子は言いました。『厩戸王に俺はなる!』」
B「もう大概にせい!」
AB「どうも、ありがとうございました」
同じく小説家になろうで長編もアップしてます。ぜひ読んでみてください。
「笑いの方程式 大漫才ロワイヤル」
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