クマ狩り
薬草を採取し終えポイントにしようと立ち上がった時、また物音が聞こえた。
「またミロクのファンか? ミロクは大変だな。過激なファンがたくさんいて」
「せやね。あんたに難癖付けるやつもたくさんおるもんな……。選ばれなかったやつらは惨めやわぁ」
ミツネが苦笑いを浮かべてそういった。こいつ案外黒い。
そう思いながら私は音のするほうを眺める。何かが走って近づいてきていた。私は刀に手をかけると、そいつは姿を現した。
「……なぁ、あれプレイヤーか? 俺にはクマにしか見えないんだが」
「奇遇やな。うちもや」
赤茶色の毛をしたヒグマが立っていた。
目のあたりには傷がついており、立ち上がって私たちを威嚇している。体長は3mはあるだろう巨体の熊だった。
私は刀を引き抜く。
「やるしかないなこれは」
「偉くノリノリやん!? ま、やるかぁ」
キャトラは前回のようには逃げない。弓を構えた。
ギルたちも剣を構え、ヒグマと戦う姿勢を取る。ヒグマは吠え、こちらに向かって突進してきたのだった。
キャトラは矢を放つ。が、頭に当たった矢ははじかれてしまったのだった。
「頭硬いんか!?」
「みたいだな。くるぞ」
私たちは突進を躱す。
そして、首元を切りつけるが刀の刃が通らない。
傷つかないし、ダメージも与えられてないのを見るに頭は本当に固いっぽいな。となると狙うは胴体か。
ヒグマは私めがけて爪を振り下ろしてくる。私は腕を刀で斬りつけるとダメージが入ったのだった。
「よし。ダメージはいるな」
私は距離を取る。
キャトラが矢を放ち、その矢はヒグマのお尻のほうに突き刺さった。頭は固いが胴体は柔らかそうだ。ダメージを与えるなら胴体。
だがしかし、ヒグマは私に狙いを定めたのか、私のほうに突進してくるのだった。
「ちっ」
ヒグマはとても速い。
自動車が突っ込んでくるような感覚だ。これを受け止めるのはさすがにきつい。私はぎりぎりのところでなんとか躱す。
ヒグマは突き抜けたかと思うと背後でぐるっとブレーキをかけドラフトしこちらにめがけてまた突っ込んでくる。
「猪突猛進のヒグマかおい」
私を殺そうとする執念がすごい。これじゃ躱すだけになりそうだな。動きが速すぎてキャトラも狙いが定まらない様子でもある。
しょうがない、受け止めるか。
私は刀を引き抜いた。
「来い、熊。お前の思いを受け止めてやる」
私のほうに突っ込んできた。
私は刀で防御を取る。私は押し倒され足が動かない。ヒグマは私を噛み殺そうとしているのか口をずっと開け、噛もうと力強く押してくる。
「うらああああああ!」
「ミツネ、しばらくもっとってくれよ!」
「任せろ!」
私は耐える。
フルパワーでなんとか互角ぐらいだった。ヒグマの力には敵わない。
「一撃で決めたる……」
キャトラは力強く弦を引っ張る。
シャイン・アローが光りだした。引っ張ってる矢が光り、そして、その矢が放たれる。矢は光の速さでヒグマの頭を貫いた。
ヒグマは私の上に倒れ、そして塵となって消える。
「うしっ! 新しいスキルはやっぱ使えるなぁ!」
「すごい威力だな。あの硬い頭を貫くとは」
「そうや。ま、溜め時間があるっちゅうのが難点やけど」
たしかにすぐには矢が放たれなかったな。
「素材もドロップしたようやし拾ってポイントにしよか」
「そうだな」
私たちは素材を残さず拾った。




