誕生日パーティ ①
私はキャトラ……ミケの部屋に来ていた。
ミケはきれいに着飾っており、いつもと違いメイクもしているように見える。
「幽音は着物なんか! 和風って感じでええなぁ」
「ドレスは似合わんからな。和服のほうが私は似合ってる」
「せやねぇ」
「ミケも似合っているぞ」
「ふふん。ありがとさん。さ、もうすぐ迎えが来るはずやからエントランスで待ってよか」
そういって私たちはエレベーターに乗りこみエントランスに行くとすでに黒い高級車が停車していた。
私たちはその高級車に乗り込むとナックル……健介と龍之介がすでに乗っている。
「よう」
「こんにちは」
「二人も似合っとるなぁ。スーツでびしっと決めてて新鮮やわ」
「僕も二人が着飾ってるの初めて見た感じがするね。化粧もしてるんでしょ?」
「うちはな」
「……幽音さんは?」
「私はしてない」
私は化粧というものが苦手だからな。剣道をしていると汗でどうせ崩れるということでしようとは思わなかった。
化粧は社会人としては基本なのは理解しているが……。苦手なものはしょうがないだろう。
「苦手なの?」
「女なのにか?」
「そういう女もいるってことを覚えておくんだな」
私たちは椅子に座ると車の扉が閉められる。
そして、車はゆっくりと走り出したのだった。
そして着いたのは豪華なホテルだった。
このホテルの大広間を貸し切りパーティを開いているという。私たちは大広間に向かい受付の人にミケ達は招待状を見せていた。
「すまない、宗形というものなんだが……」
「宗形様? 宗形様は先ほど来ておりますよ?」
「……は?」
どういうことなんだ?
私はミケのほうを見るとミケも何が何だかわかってない様子だ。
「いや、宗形 幽音だ。聞いているだろう?」
「弥勒様からは聞いておりますが先ほど中に入りましたけれど……」
「……見てきてやる。その宗形という女はどういう見た目をしていた?」
「え? 赤色のドレスを着て赤いバッグを持った女の人でしょうか」
「わかった」
「うちも見て来たる。リュウは幽音と一緒におってくれ」
「わかった」
私は龍之介と一緒に近くの椅子に座って待つことにした。
なぜ私はここにいるのに来ているのだろうか。まさか……。
「ドッペルゲンガーというやつか?」
「違うと思うよ……。君の名前を使って入った別人だと思うけど……」
「そうなのか?」
なんとはた迷惑なやつだ。
私の名前を騙って入るとは。そこまでして入りたいというのだろうか。そもそも招待されていたらそういうのは使わずに……。招待されてないということなのだろうか?
まぁ、なんにせよ待っているだけしかできないからな。
「っと、来たみたいだね」
大広間のほうからミケに引っ張られて赤いドレスの女が連れてこられていた。
ミケの顔は怒り心頭という顔をしており、健介もなんだか不服そう。軽蔑したまなざしを女に向けている。
「放してよ! 私は宗形だって何度言えばわかるの!」
女は暴れている。
すると、大広間のほうから弥勒が出てくるのだった。
「おい弥勒。この女招待したんか?」
「してないな。俺は宗形 幽音という女を招待した」
「だから私が宗形だって……!」
なるほど。あの女性がか。
「どこで知ったのかは知らんがお前は宗形という名前じゃないだろう? 宗形だと証明できるようなものを出してみろ。免許証は持っているだろう?」
「い、家に忘れてしまって」
「ほう? じゃ、俺は今から本物の宗形に電話してやろう。お前が本当に宗形だというんなら着信が鳴るからマナーモードを切っておくことだな
そういって弥勒は携帯を取り出すと電話をかけ始めた。
私の鞄に入っている携帯が振動している。私は出てみると弥勒の声が聞こえてくる。
「というわけだ。お帰り願おうか」
「な、なんで……なんでよぉおおおおお!」
女は受付の人に抱えられて送られていく。弥勒は私のほうに近寄ってきた。
「すまなかったな。めんどくさがらず招待状を今日にでも送ってくべきだった。どこで知ったんだろうな、幽音が参加すること」
「……ゲーム内でちゃうん? あの女ならゲーム内で弥勒のこととかつきまとってたんちゃうん?」
「……あれだろう。宗形、昨日ゲームで視線を感じるとか言ってただろ。もしかしてその視線を向けてたのがあいつだろう。ちっ、ほんとに女ってやつは」
「というかあれ誰なんだ? 私の知り合いでもないが」
「あれは……多分俺の子会社の社長の娘だな。前々から厄介な奴で本当に迷惑なんだよ。ゲームで俺たちのギルドに入れてくれと頼んできたり休日にデートに行かないかって誘ってきたりな」
ずいぶんとわがままそうだ……。わがままだからこそ私の名前を使ってでもこの誕生日パーティに参加したかったのかもしれないな。
「ほんとはた迷惑やな……」
「そんな怒らないでもいいだろう? 弥勒が招待状を私にくれていればこういう問題にはならなかっただろうしな」
「面倒臭かったんやろ?」
「……ああ。俺が悪かったんだけどな」
「気にするな。せっかくの誕生日パーティなんだ。メインがそんな悲しそうな顔をしないほうがいい。笑顔だ笑顔」
「それ無表情のあんたが言うか?」
「私笑えてないのか? 笑顔のつもりなんだが」
「口角が一ミリも上がってない……」
……表情筋よ、動け。




