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ホテルに泊まってほしい

 私はゲームからログアウトし、翌日を迎える。

 私は電車に乗り、また弥勒の会社にいっていた。というのも、呼びだされたからだった。私は弥勒の会社に入り、すっかり顔なじみとなった受付の人にあいさつを済ませて社長室に向かう。

 社長室には私と宍戸、真毅さんと弥勒、そして城崎。


「ミケたちは来ないのか?」

「ミケは連絡つかなくてな。リュウは今日は大事な練習があるらしく欠席だ」

「ミケが連絡つかない? 何か巻き込まれていたりとかだろうか」

「いや、きっと寝てるだけだろう」


 ならいいのだが。


「で、今日呼びだした用事は何だよ」

「……その、個人的なお願いなんだが」

「個人的な?」

「一緒にその、式場を下見してほしくて、な」


 ……式場の下見?


「んなもん真毅と二人で行けよ……」

「えっと、その……。これは私からなんですよ」

「真毅のほうから頼んだのかよ」


 なんのために?


「式場はすでに決まってるんだ。俺の贔屓しているホテルで執り行うんだ。そのホテルは本当にすごくてな……。そこで今日は寝泊まりしてもらいたい」

「俺様は別にかまわんぞ? ただで高価なホテルに泊まれるいいチャンスじゃねえか」

「楠音がいるのだが……。楠音一人残して泊まるわけにはいかないな」

「そうだったな。幽音には楠音ちゃんがいたか」

「なら楠音ちゃんもいいですよ」


 なら、学校終わりに迎えに行くとしようか。

 それにしてもなぜ私たちが式場の下見にいかなくちゃならないのだろうか。そういうのは普通二人で済ませるものだろうに。


「だがしかし、まだ納得いかんな。俺様たちはかまわんけどなぜ俺様たちに会場の下見を一緒にさせる? なにか魂胆があるんじゃねえのか?」

「いや、特にはない」

「ならなんでだ?」

「幽音さんのためです」


 私のため?


「幽音さん、北海道で楽しめなかったと聞きまして」

「……まぁ、割合的にはそうだな」


 楽しめはしなかった。

 クマに襲われたり熱を出したり事故にあったり。割とさんざんだった。北海道を楽しめたかといえばノーと答えるだろう。

 だがしかし、それとこれに何の関連性があるのだろうか。


「会場の下見はいわば誘い文句みたいな感じですよ。ただただホテルに泊まっていい思いをしていただけたらな……と」

「そういうことか。会場の下見というのはあれだろ。ホテルに泊まれっていったらなにか勘繰るとか思っていたんだろう」


 たしかに実際勘繰るかもしれん。


「なるほどな……。っていうかお前ら北海道いったのかよ。俺様いってねえぞ」

「お前が加入する前だからな」

「誘えよ俺様も!」

「いや、名前も知らないお前を参加させたらほかが困惑するだろう」

「くう! 俺様も初期メンバーでいるべきだった!」


 後悔先に立たず。


「それと、幽音には剣術をそのホテルで教えてほしい。まだ初心者だからな。忙しくてできなかったが……。今は暇を見て剣術を学びたい」

「たしかに少し教えた程度だったが……」

「どこかの体育館とかじゃダメなのかよ」

「俺の仕事とかの関係上近いほうがいいからな。泊まれて剣術も教えてもらうとなるとホテルが一番だ」


 ホテルでそういう施設あるのかわからんが……。


「ま、いいだろう。こい」

「よし。じゃ、よろしく頼む」


 弥勒は頭を下げた。








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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
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