つまらない
ウキタは本当にダンジョンを壊したようで、ロキからダンジョンが消失したという報告を受けた。
そして、私の倉庫のような部屋にウキタを住まわせることとなる。の前にウキタから情報を聞くことにした。
「魔王っていうのはどんな奴なんだ?」
「そうだなぁ、一言でいやえげつない?」
「えげつない?」
「目的のためなら手段を択ばず、部下は基本使い捨てって感じの冷酷で惨忍なやつだね! 俺っち手腕だけは褒めてるんだけど性格がどうも……」
「へぇ」
冷酷で惨忍……。想像する魔王像としてはわかりやすい。
「俺っちこれでも魔王軍の中では穏健派なほうよ? ダンジョンだけで済ませてるんだもの。俺っち以外の四天王は絶対部下を率いてやってくるんだよ。大体の四天王が魔王様ラブって感じでさぁ! いやになっちゃうよね?!」
「……そうか。となると、また攻めてくる可能性があるってことか」
「そうだねぇ。フウライシ作戦が失敗したことで魔王様イライラしてたからなぁ」
フウライシ……?
「フウライシって……。もしかしてフウライシを差し向けたのは」
「ありゃ? 被害者? 悪いことしたねぇ。魔王様がフウライシの子供を人質にとってさ、人間を襲わないと殺すなんて言うんだよ? フウライシは仕方なく襲いに行ったけど嵐を止められて何もかも嫌になったって言って魔王様に襲い掛かって重傷を負うんだもの。まったく、魔王様ってホント性格悪い!」
なるほど、あの事件は魔王の差し金……。
魔王は人間を滅ぼしたいようだ。それは魔王軍共通の認識とみても間違いなさそうだろう。魔王様を信仰しているのなら思想が同じでも違和感はない。
このちゃらんぽらんなウキタはそういうことを思っていないようだが……。
「俺っちが派遣されたのもフウライシがやられたからなんだよねー。俺っちこれでも強いから。四天王の一人でも差し向ければいいって考えなんだよ。俺っち別に乗り気じゃなかったのにさー! 俺っち以外は行きたいつってたのに何で俺っち選ぶんだか……」
「だんだん愚痴になってきているな」
「だって魔王様は俺っち正直嫌いなんだもーん! 俺っちは面白おかしく生きてたいの! あんな堅物で冷酷な面白くないやつとはソリがあわなーい!」
おちゃらけた性格だからこその性格の不一致というわけか。
「だから俺っちは魔王軍に反逆することにした! そのほうがおもしろそうだ」
「……ま、そうか。頼りにする。魔王というやつはいずれ倒しておきたいが。フウライシに重傷を負わせるくらい強いとなるともう少し鍛えなければな」
「その意気よ! さすが俺っちが見込んだだけあるねぇー!」
ま、その前にこいつを黙らせたい。




