彼らは最強の札
感想など気軽にしてくれると嬉しいです。
気が付くと私は知らない森の中にいた。
服も変わっておりちょっとだけぼろくさい服とズボン。そしてちょっと刃が欠けた剣が腰にある。初期装備というやつか。
私はとりあえず森を抜けることにしよう。弥勒という男はグラオスの街の広場にいるという話だったので地図を開きながら街のほうへと向かっていく。
グラオスの街というものが見えてきた。
グラオスの街はそこまででかい街じゃなく門があるだけでちょっとひょろそうな兵士がたっているだけ。
私はとりあえず中に入らせてもらう。
「ここ通ってもいいだろうか」
「いいよー」
「通行料とかいらないのだろうか」
「いいのいいの。お嬢さん駆け出しでしょ? そんな子から金はとれないって」
男の兵士はそう言って笑う。
すごい。AIと自然な会話をしている。いや、それは今の技術ですでに広まっているからそこまで感心するほどじゃないが。
私は街の中に入れたのでとりあえず待ち合わせ場所の広場に向かう。
広場の中央には王冠をかぶった男の銅像があり、その下に弥勒がたっていた。隣には弓を持った女性と短刀を腰に下げた男性がいる。その人たちと親しげに話している。友達、だろうか。
私はとりあえず声をかけてみた。
「弥勒で間違いないだろうか」
「ああ、やっときたね。間違いないよ。ゲームでもミロクだからミロクって呼んで」
そういうのでそう呼ばせてもらおう。
ミロクのゲームの容姿は普通の人間っぽい気がするな。髪を赤色にはしているが。顔で変わったところというのはそれぐらいだろうか。
「とりあえずこれで俺が頼んだ人は全員そろった。とりあえずお互い自己紹介しよう。まずは俺。俺はミロク。現実では不死帝グループの創始者の孫だ。いずれは父の跡を継ぐ予定でもある。よろしく頼む」
「次はうちかな。うちはキャトラ。本名が猫原って言って現実じゃアーチェリーをしてます。よろしゅう」
聞いたことがある。
オリンピックに二度も出場し金メダルをかっさらっていった天才アーチェリー少女。まさかミロクの奴こんなのを引き入れるとは。あいつの人望はどうなってるのだろう。
キャトラは頭に猫耳が生えており、水色の髪だった。
「じゃ、次は僕。僕はリュウ。体操選手をしてます。影が薄いとよく言われます」
体操選手……。確かに見たことがある。特に変哲もないような普通の顔の体操選手といえば足立選手だろう。
リュウは本当に特徴のない顔をしている。髪は金髪で頭には何もないところを見るに獣人ではない。
「最後、幽音」
「ああ、私か。私はゲームだとミツネっていう名前でやってる。実家はしがない剣道場で剣道を教えてる」
「幽音ってたしか百戦無敗の?」
「知ってるのか?」
「有名よ! うちも知っとるわ! 高校生ながらにして全国大会三連覇! 負けたことがない現代に生きる侍! まじか! 本人か! うちファンなんよー。握手してくれへん!?」
「それに剣道だけじゃなく剣術、居合術、棒術などでも優秀なのだとか……。僕ともぜひ……」
といって握手をした。
ファンがいるのか。私に? 確かに公式戦とかじゃ一度も負けたことはない。ただそれだけの話なんだが。
うーむ。実感がわかんな。
「まじか! この人と同じギルドなん! 誘ってくれてありがとうなぁ!」
「俺はできうる札を用意しただけに過ぎないからな。遠距離はキャトラ。近距離はミツネ、隠密仕事はリュウ…。俺はそう言ったことには特に秀でてないから交渉とかを主にしようかと思っている。才能あふれる四人だ。最強を目指すには一番必要な四人といってもいい」
「そうだね。特にキャトラとミツネがいるから心強いよ」
「うちに遠距離は任せとき! 狙いは絶対外さへんで!」
「剣がどこまで通じるかによるが……。とりあえず剣術は一通りマスターはしている。できうる限りやってやろう」
「じゃ、この四人でまずギルドを作ろう。でもその前に、みんなレベル上げとかしないとね」
ミロクがリーダーなのでミロクに従うまでだ。
私たちはそれぞれの武器を手にし早速モンスターと戦うことになったのだった。
面白いと思っていただけたらブクマなどお願いします。
作者のモチベに大きくつながります…!