逆恨み
ミケ達が帰り、私はゲームにログインした。
昨日は夜から全くログインしてなかったので、ミロク達が昨日何してたかは知らない。まぁいいだろう。暇だから冒険者ギルドにでも行ってクエストを受注しようか。
そう思い拠点から出ると。
「おはようございます! ミツネさん!」
「最近頻繁に会うなリチャード」
なにか縁でもあるのだろうか。筋肉を見せつけられてないといけないんだろうか?
いや、たしかに武術大会には参加するだろうし、最近までのは割と偶然が多かったが、たぶんこれは待ち構えていたのだろう。
また戦いにでも来たのだろうか。
「また私と戦いにでも来たのか?」
「そうしたいのはやまやまなのですがね、今日は違うのですよ。ある情報を手に入れましてな」
「情報?」
「ミツネさんを騙してでもクーデターに参加させようということを」
クーデターという単語だけで誰かはなんとなくわかった。
どうやら私に参加してほしいということはまだあきらめていないようだ。私はクーデターなんかには興味がないってのに。
「で、そこからなのですが……。ミツネさん、妹おられますよね?」
「なぜ知ってる? 話したことはないぞ」
「やはりですか」
どこから漏れていた?
あの月島というやつからだろうかとも思ったが……。もしあいつが裏切っていたなら全力でつぶしてやるのだが。
「ちなみに知ったのは以前、拠点の前で妹さんがあなたと話しているところを見ていたからなのだそうです。私どものスパイがそう言っておりました」
「なるほど、会話を聞かれていたということか……」
盗み聞きとは卑怯か。
「それでなのですが……。その、そのクーデターを起こそうとする人はどうやら妹さんを人質に取ろうということを言っていたのです」
「…………」
私だけならまだしも妹に、か。
しょうがない。殴り込み行くしかないか。純情な妹を利用して私を参加させようとするのはむかつく。
「リチャード。そいつらの場所はどこだ? 今からでもぶっ殺しに……」
「落ち着いて下さい。今ミロクさんたちが行っておりますとも。私はその言伝を賜っただけなのです」
「ミロク達が?」
「ミロクさんもたいそうご立腹なようでしてな、ナックルさんとリュウさんをつれて殴り込みに……。はは、いいですな。これが友情というやつでしょう」
ミロクたちが……。
「……今のが全部嘘だったりしないよな?」
「嘘はつきませんとも。嘘をつくやつにはいい筋肉はつかないと教えられておりますからな! 私は嘘はつかないのですよ!」
「そうか……」
「まぁ、でも行ってみましょう。ミロクさんたちが苦戦しているかもしれません。鬱憤を晴らすのなら私も手伝いましょう。私もあの手の輩が大嫌いなのです」
「案内してくれ」
私はそういうとリチャードはこちらですと案内しはじめてくれたのだった。
いいやつだ。お前は。




