女子たちの飲み会 ③
酒が入ってることで話が進む。
「ヒメノはないのか?」
「あたし? あたしは酔うくらいまで飲んだことはないね。酒自体にはビール飲んで以来そこまで興味なくなってさ、里音の家に招待された時ぐらいにしか飲まないかな」
「私とヒメノさんはお酒の失敗談はないんです……。そ、その、幽音さんは?」
「私か?」
お酒の失敗談か。
「私も特にないな。私はざるだから酔うことがない。度数強い酒ひと瓶空けても酔うことはなかったな」
「すご」
うちの両親はめちゃくちゃ酔うけどな。酔っ払って、従順にしていた私にも暴力を振るわれていた。思い出しただけで腹が立ってきたな……。忘れよう。あの両親のことは忘れたほうがいい。
「ミケさんは……?」
「たくさんあるぞ。今もたまにやるぐらいだからな」
「面目ない限りや……」
「どういう酔い方を……?」
「脱ぐし脱がせる」
そういうと三人が一気に距離を取った。だがしかし林檎だけが目をキラキラさせている。
「よし、じゃあ飲んでくださいな課長! ささ!」
と、オレンジジュースが空いたコップに酒を注いでいた。そしてそのコップを持ち口元までもっていくと飲んでしまったようだ。
いかんせん行動が早すぎたので止める暇がなかったな……。さてと。またやられるな。
「とりあえず真毅さん、楠音を連れて出ていってくれ。酔ったら力が異様に強くなるからな」
「わ、わかりましたっ!」
と、真毅さんは楠音を連れて出ていく。ミケは服を脱ぎ始めた。そして、ヒメノたちを見たかと思うととびかかったのだった。
「うおっ、やめてくださいー」
「ちょ、やめて!」
「ははは! 愉快じゃねえか! いいだろう! 私の全裸だ!」
「堂々となるな! ゆ、幽音さん。止めて」
「手荒な手段とるしかなくなるが」
「それでもいいから!」
というので、私はチョークスリーパーの要領でミケを締める。ミケはそのまま気絶したようで地面に寝転がったのだった。
こういう手段とるしかないから飲ませたくないんだよな。
「……ひどい惨劇だ」
「そうだねー……。マジで剥かれちゃったよ。林檎が悪いねこれ。あとでお仕置きだね」
「そうだな……。とりあえず服着よ。寒い」
いそいそと服を着る二人。だがそれを林檎が止める。
「脱ぐんだ」
「バカじゃないの?」
「あーっはっは! この解放感たまんねえなぁ!」
「幽音さん、木刀ある? いっぺん殴り殺したほうがいいかもしれない」
「さすがに殺すのは……」
「冗談」
の割には殺気がマジだったんですが。
「こんなのがおいてあったよー。しかも二本」
「ありがと。幽音さん竹刀借りるね」
「ちょ、二人ともなんでそんな怖い顔を? 酔ってるんじゃないか? 頭冷やしたほうがいいぞ? な、なぁ? あぁーーーーッ!」
林檎の断末魔が道場内に響いたのだった。




