漢たちの戦い ①
昨日は散々だったなと思いつつ私は王国闘技場にやってきていた。
今日は予選があるらしい。女性の参加者はそれほどいないそうなので予選はやらないらしいが男のほうはあるのだというので、みんなでナックルを応援に来ていた。
「形式はバトルロイヤルだってさ」
「この大人数で最後までたっていたほうが勝ち、ということか?」
「えげつない選別方法だな……」
闘技場の中に全参加者が詰め込まれており、最後まで起き上がっていたほうの勝ちだという。八人に減るまでこの予選会は終わらないと。
八人にナックルが残るかどうか……。なんだが。
「ナックルは強いとはいえこんな大人数だ。大丈夫か……」
「大丈夫だろ。俺はあいつを見込んでスカウトしたんだ。こんなのあいつにとっては楽勝だろうさ」
「だといいのだが」
観客席の最前列で見守ろうとしていると。
不意に筋肉ムキムキの男が駆け寄ってきた。ナックルはその筋肉と向き合う。
「今日はよろしく頼みます」
「……お手柔らかにな」
ナックルは一目でそのリチャードのやばさに気づいたようだ。
私の予想としてはリチャードは生き残るだろう。あと残りそうなのはナックルと……。あそこの獣のようなオーラを出している男か。
あれは強いな。飢えている。
私が予想をしているとアナウンスが流れた。
『さぁ、ただいまよりアルストロメリア王国騎士団騎士団長ウラヌス・ルーヴェル主催、武術大会予選を始めようと思う! 私が主催者のウラヌス・ルーヴェルだ。冒険者などの腕利きを中心とした武術大会……。強者だけが戦い、真の強者を決める武術大会! その予選だ! 本番の舞台に立てるのはわずか八人! 強者どもよ、いざ立たん! 一席しかない勝利の王座をもぎ取るがよい!』
なんだろう、随分と暑苦しい感じがするな。
『ま、ルールは簡単だ! 全力で殴り合え! 最後の八人になったところで試合終了となる! これ以上なくわかりやすいルールでいいだろう! では、さっそく始めるとしよう!』
たしかにルールはわかりやすいな。
武器の類は禁止といわれているし殴り合うしかないだろう。これ上なくわかりやすいといえばわかりやすいが……。随分と野蛮だ……。
だがしかし、開幕の火ぶたが切っておとされた。
ナックルは近くにいた男をぶん殴る。リチャードもぶん殴る。
「男しかいないとなるとむさくるしさがあるな」
「だろうね……。だからキャトラは来たくなかったんだね」
「女性の観客少ないのもわかる気がするな」
半裸の男どもが殴り合う。
それも割と筋肉質の男ばかり。この男どものむさくるしい熱気は女性にとってきついものとなるのかもしれんな……。私もはっきり言って帰りたくなってきている。
「ふんっ!」
「はあっ!」
リチャードとナックルはいい調子で敵を倒しているようだ。
「ナックルさん! ボクシングかなにかやられておるのですな? パンチがキレイです」
「ああ、ボクシングをやっている!」
「なるほど! あなたとは本戦で一対一で戦いたいものですな! どうでしょう、この予選で私と手を組むのは!」
「裏切らねえって約束してくれんならいいぜ! オラァ!」
「ははは、ならば交渉成立ですな! ともに戦いましょう!」
帰りたい。




