ぶっ飛ばし魔法陣
私たちは地上に戻り、砂漠の街に行く。
瓦礫が散らばっている様子を見て街の人はどう思うのだろうか。住んでいた街が一夜にしてなくなるさまを見て、何思う。
もうすでに街はなく、この砂漠を出ていくしかない絶望は私にはわからない。
私たちは街のあった場所につくと、人々は黙って瓦礫の中をあさっていた。
ミロクたちはそれをただただ見ている。
「無事だったか」
と、ミロクが私に気づいた。
「ああ、竜巻を止めるのに必死になっていてな……。遺跡の入り口も封鎖されてて逃げれなかったから砂漠から一度遠ざかっていたが……。ひどい有様だな」
「そうだな……。こういう災害はつきもの、だがな。一夜にしてすべてなくなったと思うと言葉も出ねえ」
「そうだな」
災害ばかりはいつ起きるかも予測できんからな。
「一度王都に戻ろうか」
「そうだね。あたしもこんな悲しいムード漂うところにはいたくない」
ヒメノもそういっていた。
「もうちょっとヒメノともクエストとかやりたかったんだがな……」
「こればかりはしょうがないよ。王都に戻ってもあたしのギルドにくればいいさ。ま、あたしもこの砂漠で割と単独行動とってたし一緒にやってたかどうかは微妙だけど楽しかったよ」
そういって、みんながライドンバードを呼びだそうとした時だった。
遺跡のほうから何かが出てきた。魔法陣が描かれた紙がひらひらと私たちの足元に落ちる。すると、私たちは勢いよく吹っ飛ばされたのだった。
「ちょ、なんなのこれ!?」
「なんでこんな宙を舞ってるんだ!?」
と、私たちは二人ずつ別方向に吹っ飛んだようだ。
私とヒメノは一緒に空中を飛んでいる。飛んでいるというか、飛ばされているというか。何が起きたのだろう。
そういえば、マツリが飛ばされている様子は見えなかった。マツリはどうやってあのふっとび魔法陣を……。
「あれは転送魔法陣ですね。あの遺跡のトラップだったのでしょう」
「……なぜいる?」
「私もあの魔法陣を踏みまして。ミツネさんはこっちにとんだなと思って飛んできました」
「あっそう……」
「それより転送魔法陣って?」
「えっと、本来はあの遺跡内で使用されるもので、遺跡のどこかに強制的に転移させるというものですが、外に出てしまったせいで魔法が暴走しこうやってランダムにどこかに転送してるんだと思います」
「転送っていうかこれ飛ばされてるけど。転送って……瞬間移動のようなものじゃないの?」
「瞬間移動は魔力使いますからねぇ。こうぶっ飛ばしたほうが転送が楽なんじゃないですか?」
そう説明してくれた。
ヒメノは納得したようだが。
「で、どこに転送されるんだ?」
「さぁ……」
「さぁってあんた……」
「とりあえず砂漠じゃなかったらハヤテくん呼び出して帰ればいいじゃないですか? こっちには鳥さんがいるんですから空中を経由して帰ればすぐですよ」
「そうだな」
砂漠以外の上に落ちることを願うしかないか。




