電波女と剣道女
私はルールを女の子に説明し、ゲームを始めることにした。
選ぶのは女の子から、なんだが。
「うーん。うさちゃんうさちゃん、どっちがいいかわかるにょぱ?」
と、ウサギのぬいぐるみを抱きかかえながらどちらか選べない様子の女の子。かれこれ十分ぐらい悩んでおり、なかなか終わらない。
悩むのはいいが……。十分も悩む必要はないだろう。確率は五分なんだから……。
「うーん、決めたにょぱ! こっち……いや、こっちにょぱか?」
と、右の丸薬を手にした。
私は左の丸薬を手にしようと手を伸ばす。だがしかし、女の子はそれじゃ終わらない。
「やっぱこっちにょぱー!」
「…………」
女の子は右の丸薬を置き、左の丸薬を手にした。私は右の丸薬を手に取った。女の子が丸薬を決めたのでもう変更させないように運命の天秤をどける。
「なぜどけるにょぱっ!?」
「悩みすぎなのだよ……。待ってる身にもなれ」
優柔不断というのは時にめんどくさい。
私は結構ドライに決めれるから悩むことはそんなにないのだが、ここまで悩まられると精神がすり減ってしまう。
やっぱこっちを繰り返させるわけにはいかない。
「うう、これが外れだったらどうするにょぱかぁ……」
「当たりなんて絶対引けるわけじゃないだろう。勝負に絶対はない」
ましてやこんなどっちが毒かわからない運が絡むゲームにはな。
「せーので飲むとしよう。せーの」
私は丸薬を口に入れる。
だがしかし、女の子は口に入れなかった。私の丸薬は甘い。当たりをまた引いてしまったようだ。私は甘いと告げる。
「……じゃあこれ外れにょぱ」
「だな。私の勝ち……」
「今からそっちの丸薬に変えるにょぱ!」
と、剣を持ち手を伸ばしてくる女の子。
ちっ、電波女が……。
「強引に当たりを奪えばいいにょぱ! そしたら鑑定してくれるにょぱねえ!」
「……はぁ」
ミロクは戦うゲームではないと言ってたし、戦闘するつもりもなかったのだが。
私は刀を引き抜く。女の子が切りかかってくるので剣を刀で受け止め、足払い。女の子はすっころび、剣を手放してしまった。
私は刀を突き刺そうと倒れた少女めがけて刀を突き刺す。
女の子は刀身を手で握り、抵抗していた。
「い、いやだ……。死にたくないにょぱ……」
「なら最初から奪おうとするんじゃないぞ電波女。剣を抜いておいて死にたくないなんてのはいささか都合がよすぎるな」
「やめて……。謝るにょぱ……」
「もう遅い」
謝ったら許してくれるなんて言うのは大間違いだ。それは単なる自己満足にすぎない。
謝っても許してくれないときはあるのだ。
「い、いやだっ……」
「嫌じゃない。私は甘くないぞ。お前のような甘ったるい声で頼まれても許すわけにはいかない。そういうのは放っておいてはならない」
私は思いっきり体重をかけ突き刺した。電波女はチリとなって消えていく。どうやら死んだようだ。これはPKになるのだろうか? 仕掛けてきたのはあちらだし大丈夫だよな?




