壮美なる虫と支配者の虫
最初に仕掛けたのはにじいろちゃんだった。
にじいろちゃんが空から虹色の鱗粉をばらまく。ヴィアンがその鱗粉に触れると、突然ヴィアンが痺れたかのように動かなくなる。
やはり状態異常だったか。
「ヴィアン、大丈夫か?」
「キシャアアア!」
と、ヴィアンが動き出す。
どうやら大丈夫なようだ。
「ま、麻痺耐性意外と高いんですねヴィアンさん!」
「らしいな」
本格的に有利だな。
「ヴィアン、仕掛けろ!」
「キシャアアア!」
ヴィアンはにじいろちゃんめがけて蜘蛛の糸を飛ばす。
軽快な動きでにじいろちゃんは蜘蛛の糸を避けるが、だんだん疲れが見えてきている。それはヴィアンのほうもだった。
ヴィアンはなにか考えているようだった。そして、思いついたらしい。ヴィアンは全方位に蜘蛛の糸をまき散らす。壁に引っ付き、観客席に引っ付いた。
『蜘蛛の巣だ! 掃除がめんどくさい! だがしかし、これじゃレインボーバタフライ、思ったように動けない! どうするレインボーバタフライ!』
「頭いいな」
蜘蛛の糸が張り巡らされ、動きが制限されてしまったレインボーバタフライ。
「キシャアアア!」
そして、蜘蛛の糸を吐いた。
その蜘蛛の糸はレインボーバタフライに当たる。糸が引っ付き巣に引っかかった。ヴィアンは自分で作った蜘蛛の巣に乗っかり、ゆっくりと仕留めるかのように近づく。レインボーバタフライはもがくが、もがけばもがくほど糸は引っ付いていき、離れることができないようだった。
『やはり蝶は蜘蛛には勝てないのか! 逆転の一手を見出せるか! ここで抜け出さなければ捕食されてしまう! どうするレインボーバタフライ!』
「にじいろちゃん!」
「キシャアアア!」
そして、ヴィアンはその鋭利な爪を振り下ろした。
糸はほどけたが、羽が裂ける。空を飛ぶことが困難になってしまったようだ。よろよろと力なく空中を飛びあがるが、まだ蜘蛛の巣は残っている。
全体的に張り巡らされた蜘蛛の糸。それをかいくぐりヴィアンに攻撃するのは私でも難しいだろう。
『致命的なダメージを負ったああああ! まだ戦えるようですが、もう虫の息だー! 蝶ですからもともと虫の息ですがー!』
「実況ちょいうるさいな」
『どうするレインボーバタフライ! このままあきらめてしまうのか!』
実況はあきらめてしまうかと告げる。
だがそれはヴィアンが許さない。ヴィアンは巣にぶら下がり、レインボーバタフライをつかむ。そして、糸を切り離し、ヴィアンを下にしたまま落ちていったのだった。
そして、地面に大きく着地する。ヴィアンはレインボーバタフライを下敷きにして着地したようだった。
「も、もう無理のようです! 負けです!」
と、アングルが告げた。
『勝者、ルル・ヴィアンセ! 蜘蛛とはなにかをしっかりわからせられたと思いますー!』
「とりあえず戻ってください。お疲れさまでした」
そういってアングルはレインボーバタフライを戻した。
ヴィアンは私に近づいてくる。私に頭を近づけてきた。撫でてほしいのだろう。私はヴィアンをなでると嬉しそうにしている。
「ありがとな。よくやった」
「キシャ」
「戻っていいぞ。ゆっくり休め」
私はヴィアンを戻す。
『さぁ、これで1対1! Sランクモンスターの激突となります!』
そうだな。あとは玉藻前に任せるしかない。
ヴィアンさんつおい。そりゃ壁があるなら蜘蛛の巣作るよね
ちなみに火に弱いです。蜘蛛の糸は燃えます。




