地下排水路の戦い ②
体は液体で、顔がある。
目はないようだが、こちらをどうやらにらみつけていることがわかる。
「こいつはウォーターゴーレム! 水で作られたゴーレムだ!」
ミロクが説明してくれた。
ウォーターゴーレム、か。汚い水で作られたゴーレムは濁っている。液体だから刀で切っても無駄だろう。液体はすぐに形が元に戻る。
「倒し方は?」
「胸のあたりにゴーレムの核がある。そこしか攻撃は効かない」
「なるほど。胸のあたりか」
「水が透明だったらわかりやすいけど濁ってるから見えないね……」
「胸のあたりやろ? わかってるも同然やん」
キャトラが胸めがけて矢を放つ。
矢は水に飲まれ失速していった。ダメージは入ってないようだ。
「ちっ、液体が邪魔やな。あれをどうにかして核をあらわにせな……」
「なら僕が! ウインド!」
と、リュウが叫ぶと風の塊が胸のあたりに飛んでいく。風は液体を吹き飛ばし、灰色の核をあらわにしたのだった。
だがしかし、すぐに液体が核を覆い、また元の姿に戻っていく。
「そりゃ元に戻っていくよねぇ」
ゴーレムは大きな水の腕を振り上げる。
そして、私たちめがけておろしてきた。私は刀を引き抜き水の腕を切り裂く。液体が私たちの頭上に降り注いだ。
切った腕は形がなく、切られたゴーレムはすぐに腕を再生している。
「ちっ」
「厄介だな! リュウがウインド使用した後すぐに矢を放てるかキャトラ」
「そんなのお茶の子さいさいや! うちらに攻撃されないようにしてや!」
「ああ、俺らが全力で守る! じゃ、やるぞ!」
ミロクが声を張り上げ、リュウがまたウインドと叫ぶ。
風の塊が飛んでいったと思うとすぐにキャトラはそのあとについていくような矢を放った。ウインドの魔法が胸のあたりに当たり核があらわになった。そして、その核に矢が突き刺さる。
「やりぃ!」
「ナイスコントロール。どんぴしゃで核のところ狙うような狙撃すばらしい!」
「そりゃうちだってアーチェリーの天才やで! 絶対狙いは外さんわ! もいっぱつやるでリュウ!」
「うん!」
ゴーレムは痛かったのかキャトラめがけて手を振り下ろしてきた。私は地面をけって飛び上がる。そしてそのまま刀で切り付けた。
すると今度はゴーレムの体から水の玉がどんどん射出されていく。私はそれを刀で切りまくる。
「なんつーか、ほんとバケモンやな。全部切り落とすなんて普通出来んやろ」
「こんなのは楽勝だ」
「感心してないで打つよ! ウインド!」
「ほいさっ!」
ウインドがはなたれその後ろをついていく一本の弓矢。
その矢を打ち落とそうと水球が飛んでいく。私は床を蹴りそこまで飛び上がると刀で水の玉を切り落とす。
ミロクも魔法で撃ち落としている。私は魔法なんて言うものは使えないので刀で斬るしかない。
ウインドはたしかに胸に命中した。が、今度はなぜか核が見えない。
「なっ」
「水を分厚くしたのか。だからウインドで……」
「ならば!」
私はそのまま胸のあたりを刀で切り裂く。
道を作っていき、私の刀が核に命中した。そして、矢がそのまま核に突き刺さる。
「さて」
私はゴーレムの中に落ちていく。
私は泳ごうともがくが、前に進んでいる感覚はない。酸素ゲージというものが表示され、これがなくなると体力がなくなっていくということは事前に聞いている。
私は刀を持ち暴れてみるが手ごたえはなかった。
「私は死ぬのだろうか……」
無理をしすぎた。