地下排水路の戦い ①
皆様のブクマが励みになっております。
夕飯を食べ終えて私たちはゲームをすることになった。
拠点で目が覚め、リビングのほうに向かうとすでに二人が待機していた。それと同時にキャトラも上から降りてくる。
「よし、揃ったな」
「今日は何するん……?」
「ギルドのレベル上げだ」
ギルドのレベル上げ?
「ちょうどいいクエストを受けてきた」
といって一枚の紙を見せてくる。
内容は地下排水路の魔物討伐ということだった。この王都の地下排水路に魔物が住み着いてしまって排水路が汚くなっているという。騎士で討伐する予定だったが任せてもいいだろうかと書かれている。
これをどうやらやるらしい。
「地下排水路ってどこにあるん?」
「あー、スラム街なんだ」
「スラム……」
「スラムだからこそ騎士も手を出せなかったらしいね。僕が一人で行ってみたら囲まれて危うく殺されそうになったよ」
「すっげえ治安悪いやん……」
スラム、か。
「私がいれば襲われないぞ」
「なんでそういいきれるん?」
「スラムの奴と偶然伝手ができた」
私はペンダントを見せる。
このペンダントを見せびらかすようにしていれば襲われはしないだろう。なので行くことはできる。
問題はどういう魔物が出てくるかなのだが。排水路に住み着く魔物とはなんだろうか。
「行くなら早速行こう」
「そうだね。信じてるよそのペンダント」
「ああ」
私たちはスラムにやってきた。
スラムに住んでいる大人たちが私たちを囲む。ぎろりとにらみつけ、奪おうとしているが私のペンダントに目が行ったと思うと、道が開けた。
スラムの奴らは私から離れていく。
「な?」
「ほんとだね。すごいな」
私たちが話していると排水路につながるマンホールみたいな穴があり、はしごがかかっている。
私たちははしごを下りて行った。
地下排水路に足をつける。排水路の中は薄暗く、明かりがともっていない。ミロクがランプを取り出し明かりをつけた。
結構強い光で少し先まで明るく照らされている。魔物の姿は見えていない。
「魔物いないじゃん」
「せやね。もっと奥にいるんやろか」
その時だった。
私の足を何かがつかんでいる。そしてそのまま引っ張られるかのように私は水路の中に落ちて行った。
水の中に落ち、私はもがいてみるが足を引っ張っている何かは一向に離す気配はない。私は刀を引き抜き、足元を切ってみるとようやく離れたようで私は水面に浮上する。
「ぷはぁ! 気をつけろ! 水中だ!」
「わかってる。水中だったか。ちっ、気づかんわけだ」
この水は濁っているので光で照らしていたとしても気づかないのは無理もない。
私は刀を引き抜いたまま、警戒を止めることはない。さきほど切った感覚はあったので少しはダメージを負わせることができただろうが……。
と、今度は水中から液体の腕が飛び出てくる。
その腕は私の手をつかんだ。そして、そのまま水中に引きずり込もうと引っ張ってくる。腕を封じるってわけか! これはまずい。
私の服をリュウがつかむがリュウが力負けしそうだった。まずい、これはどうしたものか。腕が動かせないなら刀できることはできない。
リュウが手を放し、私が引きずり込まれそうになった時、突然手が離れる。
キャトラが腕に向けて矢を放ったようだ。
「さっさとあがってきいや!」
「すまん。助かった」
「感謝されるのは後や! まずはこの何かしらない魔物を片付けるのが先やで!」
「ああ」
私は陸に上がる。
すると、その魔物は全貌をあらわにした。液体状の体をした人間だった。