現実で二人との遭遇
体育の授業を終え、私の仕事は終わりとなった。
私は帰ろうとすると、先ほど打ちのめした男が玄関前に立っている。
「どうした? まだなんか用か?」
「……すいませんした」
「なんのことだ?」
私がそういうと、男は頭を下げる。
「すんませんした。なめた口きいてしまって。弟子にしてください」
「弟子? ああ、いいぞ。教えてもらいたいんなら数駅離れたところに道場があるから来い」
「はいっ!」
男の子はいい返事をする。
驕ってたのかもしれないな。剣道3段だから負けはしないだろうと。負けるときは負ける。どんな相手にも真剣で挑まないから驕りが生まれる。
今気づけて良かったかもしれないな。
「では、私は……」
「お、幽音じゃないか」
と、どこかで知ったような声がする。
私は玄関のほうを見ると弥勒がそこに立っていた。スーツ姿で立っているのは何ともキマっている。
弥勒は私に近づいてくる。
「なんでこの学校にいるんだ?」
「剣道を教えてくれと頼まれたからだ。弥勒は?」
「俺、この学校に投資してるからその話。甥っ子が通ってるからな」
なるほどな。こいつもぼっちゃんだから不自然はない。
「あ、ああ! あなたは不死帝さん!」
「おや、君は……阿野内のところの。どう? 紅蓮と仲良くしてる?」
「はい! させていだただいております!」
「ならよかった。引き続き身辺警護を頼むよ」
「任せてください! 俺はもっと強くなりますとも!」
二人も知り合いのようだ。
「それにしても女性嫌いの不死帝さんが女性と話すなんて珍しいですね。しかも自分から……」
「こいつは大丈夫だ。俺が信頼してる女性の一人だ」
「そう、なんですね」
さっき喧嘩売られたこと話していいのだろうか。
いや、話さないほうがいいだろう。チクるような真似は私に似つかわしくない。それに、割とまともなほうなのだろうなこいつは。
「それじゃ俺は話があるから。幽音、またゲームでな」
「ああ。ゲームで」
私は靴を履き玄関から出ていく。
このまま帰るのもあれだし適当にぶらついてから帰ろうか。私はその足で街の中へと向かっていった。
街の中に行くとうちの街とは違いものすごい人がいる。
人が行きかい、時折芸能人らしき人も見かける。すごいな。
私は人の多さにつかれたのでスポーツができる店に入っていった。
「ちょっとここで一休み……」
「あっれー、そこにいるのはミツネやないか?」
「ほんとだね。ミツネかな」
そう言った声が聞こえてくる。
私はそっちのほうを向くと、茶髪の女性と黒髪の男性がたっている。私は誰だという目を向ける。
「……すまないがどちら様で?」
「ちょ、同じギルドやん! キャトラやキャトラ。本名は猫原 ミケや。三毛猫って呼ばれとるな。ミケでええで」
「僕は足立 龍之介です。よろしく」
「冗談だ。私は宗形 幽音。幽音でいい」
私たちは握手を交わす。
「どうして幽音はここにおるんや?」
「仕事だ。今さっき終わったから街を歩いてた」
「仕事か。僕たちは完全に休みだから来てたんだけど大変だねー。休みとかあるの?」
「道場は基本土日は休みだ。その時に私も休む」
「へぇー」
私は先ほど自販機で買った飲み物を飲み干した。
「せっかく来たんやから一緒にスポーツやらへん? 卓球、野球、サッカーにアーチェリー。なんでもあるで」
「やっていくとしよう」
私はベンチから立ち上がった。