姉妹の救世主
弥勒たちを家の中に招く。
お茶を出し、楠音を紹介した。楠音は元気よくよろしくと伝える。両親が束縛しているせいで両親には反抗的らしいが私たちには従順なんだよな……。
「それにしても幽音の実家やろ? 両親共働きなんか?」
「いや、両親とは縁を切ってる」
「えっ、なんで?」
「嫌いだからだ」
私から漏れ出てる殺気におびえたのか、みんなが押し黙ってしまった。
私は人に怒ることはそれほどない。それも、殺意を覚えるくらいには両親が嫌いでもある。楠音はその両親の元で暮らしてるのだ。可哀想に思えてくる。
「も、もうこの話題やめよーや!」
「いや、やめないで。幽音お姉ちゃん、お願いがあるの!」
「お願い?」
「私を引き取って!」
と、楠音がそう告げたのだった。
楠音は本気で引き取ってほしいと願っているようにも思える。目は真剣だった。
「私、家に帰りたくないの。高校生になるまでは我慢だって思ったけどもう無理! 縋れるものがあるなら縋っておきたいの」
真剣にそう言い放ったのだった。
私は頭をかく。楠音は年齢的にいうと小学校五、六年生だ。もう友達ができててもおかしくはない。
「私が引き取るとなると転校を余儀なくされるぞ。それでもいいのか? 友達は?」
「友達はいないからいい。お願い。早くお母さんたちから離れたいの!」
楠音はまっすぐ私の目を見てくる。
私は困ったように弥勒たちをみるが弥勒たちは助けてくれなさそうだ。自分で決めろと言わんばかりにこちらを見ている。
誰かを養う、なんてことは私には無理だ。自分のことでも手一杯なんだがな。
「うーん……」
「お願いします」
そういうと、楠音は土下座までしてきた。
ず、ずるい。
「わかったよ。土下座までするのは卑怯だ……。ったくもう、なら転校手続きとかしないとな。あの両親がなんて言ってくるか……。どうせ罵倒されるんだろうけどな。ま、一言でもなんか言ってやろう。携帯あるか? 両親にかけてくれ」
そういうと、楠音はポケットからスマホを取り出し電話をかけ始める。
私に電話を手渡してきた。
『楠音、あんた今どこにいるの!』
「楠音だと思ったか? 私だ」
私がそう言うと、電話先の相手……うちの母さんはすぐに分かったらしい。
『なに、あんたが今更何の用なの?』
「うちの可愛い妹が家出したいっていうからしばらく預かる。三度目だな、子育てに失敗するのは。子供育てる才能ないんじゃないか?」
『こんのっ……!』
「それだけだ。それじゃあな」
『ちょっと待ちなさい! あんたの住所を……』
私は電話を切る。
そして、実家の家電を借り楠音の通う学校に電話をして、いろいろと手続きを急ピッチで終わらせたのだった。
「さて、と。あとは……」
私は二階に上がる。
「お姉ちゃん、入るよ」
私はお姉ちゃんの部屋の中に入っていく。
先ほど、弥勒に買ってきてもらったものを持って部屋に入った。お姉ちゃんはベッドに寝そべり漫画を読んでいる。
漫画を閉じて私のほうを向いた。
「ん、なにそれ」
「ヘッドギアだ」
「ヘッドギア?」
お姉ちゃんにヘッドギアを手渡す。
「名前ぐらいは知ってるだろう? リングインズナイトメナっていうのは」
「あー、よくテレビでやってる……」
「お姉ちゃん、それやろう。外に出れなくてもVRの外ならいけるだろう? ゲームで外に出てみて、現実でも出たいと思ってもらえたらいいなと思ってな。用意した」
「用意したって……これ高いでしょ? 私、おじいちゃんたちに悪いなって思って買ってなかったのに……」
「まぁ、私の稼ぎから出しただけだ。気にするな」
私はゲームソフトとヘッドギアを手渡した。
「私はミツネっていう名前でやってる。不死鳥の羽っていうギルドにいるから暇があったら訪ねてきてくれ。手助けしよう」
「あ、うん……。ありがと」
お姉ちゃんは素直に受け取ってくれた。
「なんか、いつもごめんな。私は妹に助けてられっぱなしだ」
「そういうのが姉妹だろう? 気にするなよ」
お姉ちゃんはあの両親から生まれたとは思えないくらい優しいのだ。だから私は好きだ。




