表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/404

彼は最強を目指すといった

剣士系の主人公書きたかったんです。

 人生は、とてもはかない。

 私は竹刀を素振りしながら考え事をしていた。つい先日私の友人の母が亡くなったという訃報が届いたからだ。

 人の死に直面するというのは悲しいものではあるがそれは善良な人のみだろう。私は誰が死のうと別に構わない。


「元気づけたほうがいいものか」


 私は素振りを続ける。

 数は100は越えただろうか。このぐらいは余裕でこなせなければいけない。私は強くならないといけない。

 私が素振りしていると突然インターホンが鳴った。私は素振りをやめ、竹刀を置き道着のまま玄関に向かう。玄関には見知らぬ男二人がたっていた。


「ここは宗形剣道場で間違いないだろうか」


 男はそう聞いてくる。

 私は身なりを見てみる。ふむ、割と素材がいいものを使っている。これは高級ブランドのものだろう。どこかのぼっちゃんか。

 門下生になりにきたわけでもなさそうだが。


「そうだがどうした? 門下生になりたいわけじゃないだろう」

「宗形 幽音ゆうね師範代に会わせて欲しい」

「幽音は私だが」

「貴殿がそうだったか。話をしたい。あがらせてもらってもいいだろうか」

「構わない。スリッパなんて言うもんは自分で出してくれ。そこにある」


 私ははだしのまま応接室に案内をする。

 宗形道場は私一人で切り盛りしているので事務員とかそういうのはいない。

 知名度はというと剣道に興味があるなら私のところに来るのが一番いいと、この町でも評判となるぐらいには有名だろう。

 一応門下生は割といる。高校生で全国大会にいったやつもいるぐらいだ。


 それはおいておいて。このぼっちゃんは何の用だろうか。


「粗茶だ」

「ありがとう」


 私は茶を汲み坊ちゃんに出す。そこら辺のスーパーで売ってるような安い茶だから高級そうなものを食っているおぼっちゃんには合わないかもしれないが。

 まぁ、それは庶民の味だと覚えてもらえればいいだろう。


「それで何の用だ?」

「とりあえず自己紹介をさせてください。俺は不死帝ふじてい 弥勒みろくといいます」

「不死帝……知ってるぞ。阿久津グループと並ぶ資産家だっていう話だな」

「まだ新興貴族のようなものですがね。それで、あなたにお願いがあるんです」


 不死帝は私の顔を直視する。

 顔は整ってるな……。金持ちで美形というのはどうも気に食わん。神はコイツに与えすぎじゃないだろうか。

 

「宗形さん。あなたゲームというものには興味ありませんか」

「ゲーム?」

「ええ、そうです。特にVRMMOというものに」

「ゲームか」


 なくはない。ガキの頃は金がなくて買ってもらえなかった。今でこそ独身だし使い道もないから貯めこんではいるがゲームは今更やろうとは思っていない。

 私は機械がそんなに得意ではないというのもあるのだが。


 私の考えがわかったのか苦笑する不死帝。


「興味はなさそうですね」

「どちらかといえばな。やったことはないし今更というのもある。頼みって言うのはゲームか?」

「はい。俺と一緒にゲームやってくれませんか」


 不死帝は直球にそう告げる。

 ゲーム、ねぇ。友達とやりたいんなら今日初めて会った私じゃなく普通にやればいいのだが。私に頼んできたということは何かやりたいことがあるのだろう。私の力がなくてはならないようなことが。

 だがしかし、私は剣道や居合術、剣術くらいしかやったことがない。昔から剣しか握ってこなかったのだ。だから剣に関することなのだろうが……。


「……俺はゲームで最強を目指したい。そのためには強いプレイヤーを仲間に入れることが大事なんだ」

「強いプレイヤー、ね。私は初心者だからそんなに強くはないと思うが」

「現実世界で名をはせる剣士ならばゲームでもその強さを発揮できるはずだ。ゲーム補正があるとはいえ才能があるやつと才能がないやつじゃ強さが違う」

「なるほどな。それもそうかもしれん」


 才能の有無は否定しないが、才能がないとどこかで絶対限界が来る。才能がすべてではないが物事には才能があったほうがいい。

 ふむ、話していて分かったがこの男、割と私とそっくりな気がするな。なんとなくそんな感じがする。


 受けてみてもいい、かもしれないな。


「わかった。受けてやろう」

「助かる。もちろんゲームを買う金は出させてもらうし給料も払う」

「それぐらい別に構わん。どういうゲームをやるんだ? 設定とか必要だったらやってくれ。私は機械に疎いんだ」

「わかった。助かる」


 頭を下げてくる。金持ちというのは総じてプライドが高いと思っていたが頭をすぐに下げれるのも好ポイントだ。狙ってやってるのか素でやってるのかはさておきな。

 私は立ち上がる。そろそろ学校帰りの門下生が来るかもしれん。


「明日、機械を持ってこさせます。困ったときはこちらの電話番号に。俺たちは仕事仲間じゃなくて友達として接しましょう」

「ああ。なら私は幽音と呼んでくれていい」

「なら私は弥勒で。よろしくな、幽音」

「ああ」


 私たちは握手を交わした。





面白いとおもっていただいたらブクマや評価などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
最初の章題、GAME STATEとなっていますが、GAME STARTではありませんか?(違ったらすみません)
[気になる点] 前作から何年後の設定なんですか? [一言] これからがとても楽しみです~!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ