成仏!?
あたしは疲れ切っていたけど、さっきの事件を皇子と話し合わなければと思っていた。 相手が強硬手段に出てきたのだから、こっちもそれなりの対策を立てなければならないと思った。
だけど汚い石棺に入れられ手足を縄で縛られてたあたしはドレスも髪飾りも手も足も真っ黒で傷だらけ。暖かい湯で汚れを落とし、髪を洗ってもらって、ようやく人心地ついた。
寝間着に着替えて、ベッドに這い上がるとメイドを下がらせた。
そして先ほどから泣きべそをかいてる果梨奈先輩に、
「先輩、ありがと。マジやばかった」
と言うと、先輩はぼろぼろ涙をこぼしながら、
(よかった~あんたにもしもの事があったら……あんたの姿見た時、心臓が止まりそうだったよ~~)
と言った。
「いやいや、もう死んでるっちゅうに、先輩。でも、よくあたしの事が分かったね」
(姿は隠してたけど、あんたの側にいたもん。薔薇園でお邪魔しちゃいけねえっと思ってさ)
「そっか、だからあたしの危機を皇子に教えてくれたの? でも、皇子は先輩の事見えないんでしょ?」
(それよ!)と言った。
(あの子、マジあたしの子かよって思うほど、鈍感。国王に似たんだろね。ぜんっぜん見えやしないの)
「でも、皇子は母上が教えてくれたって言ってたよ?」
(もう必死よ。しょうがないからさ、あのグレイって男の身体を借りた。グレイは霊媒体質みたいね、すぐ入れたよ)
「そうなんだ」
(抵抗されたけどさ、こっちだって必死。もうさ、この世の未練も何も捨ててもいいから、あんただけは助けようって願ったら、いけた。グレイに入ってあんたの危機と場所を伝えるだけで精一杯だったけど)
「先輩、ありがとう。先輩がいなかったら、串刺しだったよ。見た? あの石棺の蓋の内側」
(見た見た~~)
「マジ、ふざけんなって感じだよね。あの魔女、あたしを生け贄にして? 魔力の復活とか言ってたけどさっ」
(復活?)
「そう言ってたよ。乙女の肉体と血でね」
(じゃあ、今、リベルタには魔力がないって事?)
「そうなんじゃねーの? 力があったら、果梨奈先輩の事だって分かってるはずじゃん? それとも知らない顔してるだけ? リベルタは特に先輩に対してアクションなくない?」
(そうだね……城の中を移動できるようになってリベルタをチェックしたけど、確かにあたしが生きてた頃よりも勢いがない気がするよ。もっとこうしたたかな感じだったのに。魔力を失ったってんなら、リベルタになんか大きな事件があったのかもしれない)
「そっか、あたしが城に出入りするようになったのは最近だし、あんま昔のリベルタの事は知らないんだ。そこんとこ探っとくよ」
とあたしが言うと果梨奈先輩はためらった様に、
(マリア、危ない事はもう止めよう)
と言った。
(あたしはもう気が済んだ。息子の成長した姿が見られて、花嫁が大好きなマリアだなんてさ。もう成仏してもいいくらいだ。だから、あんたはヴィンセントの側で大事に守られてちょうだい)




