絶体絶命2
「クッソ! こんなとこでやられてたまるか!」
あたしは身体を動かしてせめて足でも手でも、このあたしを縛る縄が緩まないかと必死で願った。
『そんな事をしても無駄』
という野太い声が響いてきた。
「んだ、テメエ! 卑怯だぞ!」
『お前は贄、我が力を取り戻す為のね』
「てめえ! リベルタだろう! やっぱり魔女だったんだな! ふざけんな!」
『くっくっく、威勢のいいこと。マリア、お前の良いところはその溢れ出る生命力。お前の血はさぞかし美味だろう。一滴残らず、飲み干してあげようね』
『卑怯だぞ!! てめえ、タイマン張れよ!』
言ってしまってから、んなアホなタイマンて……とは自分でも思ったよ。
でも自由になるのは口だけだから、喧嘩の方法は口喧嘩しかなかった。
「あたしを贄にしてどーすんだよ? 何が目的だよ?!」
『乙女を贄にするとなれば決まっておろう? 復活じゃ』
「復活?」
『わらわの魔力が蘇る。その為にはそなたが必要。乙女の肉体と鮮血がな』
魔力の復活? じゃあ、今のリベルタには魔力がないっつう事か。
そのとき、ぽぽぽぽぽと気配がして、蝋燭の火がいくつか灯った。
あたしを囲むようにサークルのような形でともった火の明かりで、あたしは自分の状況を知った。
あたしの左側にはフードと仮面を被った人間が一人立っていて、右側にはギザギザした歯がついた垂直に立っている。あたしは縛られて箱の中に寝かされている状態だ。
ギザギザした歯の部分は箱の蓋だ。
つまりはその蓋が閉められたら、あたしの上にあのギザギザが落ちてきて身体を貫くって寸法だ。
「こんな事して、ただですむと思ってんのかよ? 誰があたしを殺したか一目瞭然だぞ! ヴィセント皇子がすぐにあんたの仕業だって気がつく! 皇子はあんたの事を魔女だって知ってるんだからな!」
『それはどうかしらね。クックック』
「てめぇ! 他にもあんたが悪霊をくっつけてるって見えてる奴がいんだぞ! あんたが魔女だって事はみんなが知ってるんだぞ!」
『へえ、それで?』
リベルタは全然、焦った様子でもなかった。
むしろ言葉の隅々に面白おかしくて仕方が無いというような笑い声さえ入る。
『わらわが魔女でも何でも、たった今から鮮血を噴き出すお前には関係のない事。マリア、お前が死んだ後の事まで気に病む必要なない。お前の愛しい皇子もすぐに側に送ってやろうぞ?』
ほっほっほっほと魔女が笑った。




