夕食会
食事は城に滞在する者が全員集まる。
大きな広間の細長い大きなテーブルに ヴィンセント皇子、あたし、ローレンス皇子、白薔薇が横並びに、リベルタ、うちの両親と兄が向かい側に横並びに座る。
リベルタは饒舌で母親と最新のモードの事なぞを話しており、ローレンス皇子は兄と最近手に入れた新しい馬の話をしている。
白薔薇はやはり不機嫌そうに黙っているし、ヴィンセント皇子も何か暗い感じで黙っている。
「どうしたんですか、兄さん、今日はご機嫌がよろしくないようですが」
とローレンス皇子が茶化すような口調で言った。
「別に」
とヴィンセント皇子が素っ気なく答えた。
「マリア、君の新しい婚約者は気難しいね。持ち前の毒舌で気分を変えてやればどうだい」
とローレンス皇子があたしに向かって笑いながらそう言った。
「ヴィセント様はあなたと違って国務にも勤めてらっしゃいますの。ですからお忙しいのですわ。お疲れもしますでしょう」
毒舌を吐けというからローレンス皇子自身に言ってやったら、両親の顔がぎょっとなっている。
「相変わらずだねぇ」
と言ってローレンス皇子が笑った。
「まあ、君のそういう所は好きでもあるがな」
ローレンス皇子の言葉に、白薔薇がちらっとあたしを見た。
同時にヴィンセント皇子がカシャンとフォークを置いた。
「兄さん、僕たちはここに何をしに来たんですか? 避暑に来たのでしょう? 少しはゆっくりしたらどうですか? ご自慢の薔薇園でもマリアに見せてやればいいのに。あの優雅で美しい薔薇園で愛の一つでも囁いたらマリアの毒気も少しは抜けるでしょう」
これ、嫌味でも何でもないのがむかつくよね。
彼、本気でそう言ってるんだよ。
ヴィンセント皇子はむっつりとしたままだった。
多分、ローレンス皇子の事が本気で嫌いなんだろうな。
まあ、弟といっても母親の敵の子供だもんなぁ。
ヴィンセント皇子には果梨奈先輩が毒殺されたなんて伝えてないし、言っていいものかどうかも悩み中でもある。それを白日の下にさらす手立てがないしね。
幽霊になった果梨奈先輩がそう言った、なんて誰が信じる?
下手すればあたしが魔女だって言われてしまう。
それぞれがむっつりとしたまま、夕食は終わった。
またそれぞれに自室へ戻ったりワインを飲んだりし始めたので、あたしも席を立った。




