パワーアップ
先輩がそう言った瞬間、ぱーっと先輩のうすぼんやりしていた身体が光った。
あたしが瞬きしている間に、先輩の身体はさっきよりもはっきりと見えるようになっていた。
(真理亜、まず、何からしたらいいと思う?)
「んー、まず、もう少し、身なりを整えたんがいいんじゃないっすか。皇子の部屋の先輩の絵を見ましたけど、綺麗だったっすよ? それなのに、今、何ですか? それ、田んぼの真ん中のカカシっすか」
吐瀉物で汚れたぼろぼろのすり切れたドレスにざんばら髪の毛、相手を脅かす幽霊役なら丁度いいかもだけど、あまりにみすぼらし過ぎる。
(そうかな)
「それに先輩、単体でどこまで動けるかとか? この城内にいる人間で先輩を見える奴がいるかどうかとか? 特に王妃、それにその息子のローレンス皇子、この二人に先輩の姿がはっきり見えるかどうかが知りたいっすね」
(そうね、リベルタの力がどんなもんか、それに息子がその力を受け継いでるかどうかも肝心なとこね)
「実際、二十年前は王妃の力はどうだったんすか? 魔女だっつって、そんな力が?」
(それは分かんない。実際、間近で力を使って何かしたっていうのはないんだ。あたしが死んだ時も呪いや魔術ってもんじゃなくて毒を飲まされたんだからさ。ただ、魔女には違いないよ、死人とか黒い影とかさ、とにかく不吉な物をたくさん従えてたのは見えたから)
「そっか……魔女かぁ」
そこで湯を取りに行ってきたメイド達が戻ってきたので、話は終わり先輩はまた姿をけした。
寝室の隣のバスルームでドレスを脱ぎながら、あたしは考えた。
もう少し魔女について調べたほうが良さそうだ。
魔女って一体どういう生き物なんだろう?
湯を使い、髪を洗い、新しいドレスに着替えた頃に「食事の用意が出来ました」とメイドが迎えに来た。




