真理亜、転生?
「ぬあ?」
目を開けたらそこは宮殿……みたいな場所だった。
「おー、寝る前にやってた乙ゲーの場所みたいだ。ははは……あんなクソつまんないゲームを貸した奈緒子は明日タピオカおごりだな。あーあ、風呂入って寝るかぁ……」
身体を起こして大きく伸びをする。
寝ぼけてんのかな。
ワルツみたいな音楽が聞こえてくるし、あーあとあげた両手の腕が寝間着にしてる中学の時ジャージじゃなく、何かひらひらしたもんついてる。
「??」
起こした身体がやけに窮屈だと思ったら、ゲゲゲなんじゃこりゃあ~
ドレスだ、ドレス。腰はぎゅっと締まったドレス。ピンク色のドレスだ。
あたしは窮屈なドレスを着てソファに寝そべっていたようだ。
「え、どうなってんの」
「マリア様、ご気分でも?」
ふいに人影が出来たのであたしは顔を上げた。
姫だ、姫がいる、しかも一杯いる。
座っているソファを囲むようにしていろんなドレスの姫があたしを覗き込んでくる。 「え、つうかここどこ?」
「マリア様、お気持ちは分かりますわ。婚約破棄だなんて」
「婚約破棄?」
「ローレンス皇太子様とのご婚約、破棄されておしまいになって……おかわいそうに」
と緑色のドレスを着た重そうな身体の姫があたしの顔面ドアップに近づいてそう言った。
「待て待て待て、そこの緑の豚、何つった? かわいそうだと?」
「み!! 緑……マリア様ったらショックのあまりに混乱してらっしゃいますのね」
あたしは頭を抱えた。
待てよ、何か……頭をよぎったぞ。今……何か思い出しそうだぞ。
そうだ! ゲームだ。奈緒子に借りた乙女ゲームだ。確かこんな内容だったぞ。
マリア……マリアって嫌われる悪役じゃなかったか?
ヒロインと皇太子の間を邪魔すんだよな。そーだよ、マリアと真理亜、性悪で一緒じゃんって奈緒子が面白がって貸してくれたんだよ。
そんでなんであたしが……
「ああ!!!」
そうだ、思い出した……あたし、死んだんだよね。