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5章

不意に、足音が聞こえてきた。

慌てて私は布団に入り、目を閉じた。

誰かが近づいてくる。

「大丈夫。僕以外、誰もいないよ」

……この声は。

「ねぇ、まだ動けるんでしょう?僕は知ってるんだから。だから、少し話そうよ。だって暇でしょ?」

おずおずと目を開けて、その声の主を見た。

やっぱり。私の幼馴染だ。

「……なんで知ってたの?私がまだ、動けること……」

「それはね、『逝く人の言い伝え』にそう書かれていたからだよ」

「……『逝く人の言い伝え』?その言い伝えって、どんな言い伝えなの?」

そういえば、私の幼馴染はそういうのが詳しかった気がする。

「この言い伝えは、まぁそのままだけど、逝く人についての言い伝えがまとめられたものなんだ。だから、逝く人自身のことやその家族が取るべき行動なんかが書いてあるんだよね」

「へぇ……」

「その中に、こんな文言があるんだ。……えっとね。『死んだ人の魂は、しばらくは自らの身体を操ることができるだろう』……それだけじゃないんだ。あとは……『死んだ人の魂は、しばらくこの世に留まり続け、自ら去らなければならなくなった時に、自らの身体から去るだろう』って文言もあった」

「……そうなんだ」

そのとき、思い出した。お父さんが言った言葉を。

『あの言い伝えは……本当だったんだ……』

お父さんが言っていた『あの言い伝え』とはこの言い伝えのことに違いない。

そして、彼は腕時計を見て、あっ、と声をあげた。

「ごめん、もう帰らなきゃ」

「そっか。ありがとね」

「いえいえ。それじゃ」

彼はいなくなり、私は再び横になった。

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