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序章
気がつくと私は、白い敷布団の上で、白い布団をかけられて、横になっていた。
部屋の中は薄暗かった。
長い時間布団の中にいるならば布団が暖かくなっていてもおかしくないのに、布団はひんやりと冷たいままだった。
首を傾げた。疑問だらけだった。
ここはどこなのか。
なぜここにいるのか。
なぜ私はこの白い布団で眠っていたのか。
なぜ布団は冷たいままなのか。
そして、不意に1つの可能性に気付き、私は自分の胸に、薄い着物らしきものの上から触れてみた。
何も、感じない。
自分の手なのに、自分の身体なのに、なんだか人形みたいだ。
あの規則正しいリズムすら感じられない。
どこからか、微かに線香の香りがする。
私は驚かずに、その事実を受け入れた。
私、死んだんだな、と。