表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人娘、大活躍  作者: しろ組


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/23

一二、フィレン、企む

一二、フィレン、(たくら)


 フィレンは、屋敷の反対側へ来ていた。そこで、観た闘舞台(リング)上でのリーン兄弟の横暴振りに、憤慨(ふんがい)した。先刻話していた通り、猫耳族とバニ族の娘に、全ての責任を終身刑という形で、転嫁(てんか)させたからだ。そして、「ひょっとして、最初から支払う気なんて無かったのかも知れないわね」と、呟いた。武術大会の打ち切りを宣言すれば、リーン家が、配当金を支払わないで、大儲けに直結するからだ。ふと、猫耳族とバニ族の娘が、警備の男達に連行されながら、階段を下ろされるのを視認した。その瞬間、「先ずは、あの子達を助けてあげないといけないわね。それに、貸しを作っておいた方が、後々(のちのち)役に立ちそうだしね」と、含み笑いをした。独りで乗り込んでも、何をされるか、知れたものではないからだ。その直後、右手の先刻拾い上げた細い剣(レイピア)一瞥(いちべつ)するなり、「まあ、それなりの仕事は、して貰わないとね」と、言葉を続けた。特に、猫耳族の娘には、一働きして貰いたいと思っているからだ。

 間も無く、「今日の武術大会は、これにて閉会とする! 今夜は、ゴタゴタしておるので、後日、払い戻しをするので、お引き取り願おう!」と、ヨーシが、もっともらしい言葉を、棒読み口調で、告げた。

「払う気も無いくせに」と、フィレンは、呆れ顔で、ぼやいた。観覧席での会話(やりとり)を聞いていたので、嘘が見え見えだからだ。

 やがて、観衆達が、大人しく、正門へ移動を開始した。

 フィレンも、二人の行方を捜した。居場所を把握しておく必要が有るからだ。程無くして、二人の警備の男に、前後を挟まれながら、屋敷とは反対方向へ連行される猫耳族の娘達を見付けた。その直後、後を追うように、足を向けた。行く先は、察しが付くからだ。そして、見失わないように、適度の距離を保ちながら、尾行(びこう)をした。しばらくして、人気(ひとけ)の無い場所へ差し掛かった。やがて、猫耳族の娘達が、塹壕(ざんごう)のような場所で、半分埋まるように建てられた長方形の建物へ入るのを見届けた。少し間を置いて、その建物の手前まで、小走りに近付くなり、建物と垣根の隙間へ入った。次の瞬間、壁へ背中を密着させた。少しでも、存在を消しておきたいからだ。

 間も無く、警備の男達が、気付く風も無く、通り過ぎた。そして、次第に、屋敷の方へ遠ざかった。

 しばらくして、フィレンは、通りへ出るなり、辺りの様子を窺った。しかし、誰の姿も、確認出来なかった。その瞬間、口許(くちもと)を綻(ほころ)ばせた。安心して、侵入出来るからだ。間も無く、階段を下りるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ