表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界研究備忘録  作者: 10pyo
第1章 魔法の杖を作ろう
6/29

魔法の杖を作ろう5

「それだけ必死になって私を助けてくれたってことですよね。ありがとうございます、現人神様」


 ああ、助けた彼女のフォローが辛い。

 ところで、僕は彼女に名乗ったっけか。


「ところで現人神様、私はキャシテという、ドワーフ族でございます。貴女の名前を伺ってもよろしいでしょうか」


 目の前の褐色少女は、とても幼い女の子とは思えない、恭しい口調で僕の名前を問う。しかし……

「僕は皆には現人神って呼ばれているよ」


「そうではございません。そのような定義上の名前ではなく、本名でございます」


「メイさん、僕の本名、分かる?」


「……現人神様は現人神様だ、としか神官長からは教えて貰っていません」


 メイさんはしどろもどろに答えた。


「いつまでも現人神って呼ばれるのも味気ないし、こっちで別の呼び方を考えるよ」


「ごめんね、もっとしっかりと聞いておけば良かったんだけど」


 メイさんはバツの悪そうに話す。


「といってもいい名前なんてすぐには思いつかないんだけどね」


 僕が悩んでいると、キャシテが声をかける。


「それでしたら、あなた方が今探している木の実、マギナッツからとってマギナ、というのはどうでしょうか」


 また、僕の話していないことが知られている。


「どうして僕がマギナッツを探しているって知っているの?」


「申し訳ございませんが、貴女の行動は偶に噂になって私の住むドワーフの国にも届くのですよ。例えば……」


 例えば……なんだろうか


「鉄の棒を持ちながら魔法を使おうとしていたり、よくわからないことを呟きながら魔法を使ったり……」


「やめて、それ以上は、やめて。どうして君が僕のことを知ってるか分かったから。」


 正直、自分の立場を舐めていた。現人神と呼ばれる立場なら、行動一つ一つが噂になりかねないのだった。


「兎に角、僕は今からマギナだ。メイさんもそれでいいね?」


「私は何か言える立場じゃないから口出しできないけど……現人神様、じゃなくて、マギナ様はそれでいいの?あまりかわいくないけど」


 メイさんは少し不満な様子である。


「僕はいい名前だと思ってるよ。だって……」


「だって?」


「記念すべき発明品第1号の材料が由来になるんだからね」


 メイさんは、僕の言葉を聞いて呆れているようだった。うん、この反応は予想していた。


「いい名前をありがとう、キャシテちゃん」


「喜んで頂けたなら光栄でございます」


「ところでキャシテちゃん、マギナッツの木を知らない?この湖に生えているって聞いていたんだけど」


 メイさんが問いかける。そうだ、色々あって忘れかけていたが、僕はマギナッツを探しにきたんだった。肝心の僕が忘れてしまうとは情けない。


「非常に言いにくいことなのですが、この辺りのマギナッツの木は、私の国、アレキサンドリアが全て伐採してしまわれました」


「どうにかして譲って貰えないかな」


「私の父が材料関係の流通に携わっておりますので、話せば快く融通することができるかと思います。何と言っても、現人神様のお願いですので」


 キャシテちゃんは茶目っ気に提案してくれた。


 そうして、僕たちは後日ドワーフ達の住む国、アレキサンドリアへ訪問することになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ