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涼羽…お前、本当に羽月ちゃんに懐かれてるんだな~

この作品も、ようやくといった感じで2000000PVを達成することができました。

投稿当初はこんなに続くとも、読んで頂けるとも、全くもって、思っていなかったです(笑


それもこれも、この作品を読んでくださる皆様のおかげです。

ありがとうございます。


今のところ、完結させるビジョンが見えないので、これまで通り好き勝手に書いていこうと思いますので、どうか読んで頂ければ、と思います。

「…なんか、あれだよな」

「…ああ」

「…今の高宮さんと、鷺宮君のやりとり」

「わあ~…なんだか、あれよね」

「うんうん」

「なんか、見てたら…」




「「「「「「娘さんを僕にください!!!!って感じのやりとりだ(よね~~)」」」」」」




今しがた、自分達の目の前で行われていた、高宮家の人間と志郎とでのやりとり。

その一部始終を見ていた周囲のスタッフ達が思ったことを、まさに一言でまとめてしまう。

それも、満場一致で。


確かに、単にそのやりとりだけを見ていれば、志郎が涼羽の父である翔羽に、自分の伴侶として涼羽を頂きたいと、まさにそう宣言しにきたかのような感じになっている。

しかも、それに当たって涼羽の妹である羽月にまで挨拶に来た、といった感じの。


しかも、志郎は純白のタキシード、涼羽は清楚な印象のウエディングドレスに身を包んでいるので、どうしてもそんな感じで見てしまうのだ。

とはいえ、普通に考えればそれぞれ花婿衣装、花嫁衣装に身を包んでいるのだから、とっくにそんな段階はクリアしているというのが自然だろうが。


「わ~~~~……まさかこんなにも心温まるような光景まで撮影できるなんて…楽しくて楽しくてたまらないな~~~~……」


そして、そんな様子もその一コマ一コマを切り取るかのように撮影し続けるのは、志郎と涼羽をここに連れて来た張本人であるカメラマンの光仁。

まだ本番の撮影は開始していないのだが、もうすでに彼にとってはカメラマンとしての本能が叫びをあげるほどにうずいてしまうようだ。

もう、長年連れ添っているその愛機で、一心不乱に涼羽と志郎を撮り続けている。


特に、涼羽と志郎はもちろんのこと、涼羽の妹である羽月は幼さが色濃いものの、非常に容姿の整った美少女であるし、涼羽の父である翔羽は、志郎と似たようなタイプの爽やか系イケメンであり、全員が映える容姿をしているのもあって、余計に撮影のし甲斐があるのだろう。


「…しかし、涼羽」

「?なあに?お父さん?」

「…お前、本当にお母さんにそっくりだな…めちゃくちゃ綺麗で、めちゃくちゃに可愛いぞ」

「!!そ、そんなこと…」

「あるある。今のお前、ほんとに俺と式をあげた時の水月と瓜二つって言えるくらいなんだからな」

「も、もう…そんなことないってば…」

「もうその顔立ちなんか、ちょうど俺と結婚した時の水月の顔立ちだし、その胸の大きさも、水月と同じくらいだし、俺にウエディングドレス姿を見せてくれた時も、そんな風に恥ずかしがってて…あ~、ほんとに水月が生き返ってくれたような感じだよ」

「うう……」


周囲がそんな状態な中、翔羽が実の息子である涼羽の今の花嫁姿を改めて、まじまじと見つめる。

そして、本当に今は亡き最愛の妻である水月が、自分と結婚式をあげた時の姿とまるで瓜二つだと思い、それをそのまま涼羽に伝えてしまう。


父、翔羽からいきなりそんなことを言われた涼羽は、またしても自分の今の姿を自覚させられることとなり、その顔を真っ赤に染めてしまうこととなる。


「お兄ちゃん…すっごく綺麗で、すっごく可愛い」

「!は、羽月まで…そんなこと…」

「お兄ちゃんは、わたしがお嫁さんにするの。だから、誰にもあげないの」

「!ま、またそんなこと…」

「や。お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんなの」

「も、もう…羽月ったら…俺はお嫁さんになんてなれないって言ってるのに…」

「お兄ちゃんがそうでも、他の人はそうじゃないもん。今ここにいる人達だって、ぜ~ったいお兄ちゃんのこと、お嫁さんにしたいって思ってるもん」

「!そ、そんなことないってば…もう…」


父、翔羽の言葉に便乗するかのように、今の花嫁姿の兄、涼羽のことを本当に綺麗で可愛いと、素直な気持ちで称賛を贈る羽月。

実の妹である羽月に、またしてもそんなことを言われてしまい、涼羽はますますその恥ずかしさが増してしまう。

もうひたすらに恥らっている涼羽に構うことなく、羽月は涼羽は自分だけのお嫁さんにするのだと、とにかくその主張を押し通そうとする。


そんな妹の主張に、自分は男だから花嫁になんてなれないと涼羽は言うものの、いくら涼羽本人がそうであっても、周囲はそうじゃないと、羽月は言い切ってしまう。


「…うんうん、正直…涼羽ちゃんなら俺、マジで嫁にしたいって思う」

「だよな。あれで今年十八歳の男子高校生だなんて言われても、嘘にしか聞こえないしな」

「ぶっちゃけ、男の子でもいいと、俺は思ってる」

「あれだけ可愛くて美人だったら、正直男とかどうとかなんて、どうでも良くなってくるしな」

「それに、めっちゃ家庭的で、献身的なお嫁さんになってくれるだろうし」


そんな羽月の主張が正解であることを示すかのように、周囲の男性スタッフ達は、涼羽なら冗談抜きで嫁にもらいたい、などと思ってしまっている有様。

涼羽自身は自分は男だから、と言っているものの、周囲はそれでも構わないし、むしろどうでもいい、などという意見まで出てしまっている状態なのだから。

しかも、あの高宮 翔羽が頼りにするほどの能力持ちで、しかも料理含む家事全般は一線級だというのだから、なおさらと言えるだろう。

彼らの、涼羽に向ける視線が本当に熱を帯びたものとなってしまっている。


「涼羽ちゃんだったら、わたしほんとにお嫁さんにしたいわ!」

「ね~!あんなにも綺麗で可愛くて、しかもお家のこと全部してくれる子なんだもん!」

「ぜ~ったいに、すっごくいいお嫁さんになってくれるわよ!」

「で、家事全部してもらう代わりに、涼羽ちゃんのことめっちゃくちゃに愛して、可愛がってあげるの!」

「もうあの恥ずかしがってる顔見てたら、もっと恥ずかしがらせたくなっちゃう!」


そして、涼羽をお嫁さんにしたいと思っているのは男性陣だけではなく、女性スタッフ達もであった。

特に、普段から仕事に重点を置いていて、家のことがおざなりな女性スタッフは本気で涼羽を欲しがっているらしく、執拗なほどに熱い視線を涼羽に向け続けている。


そんな感じで、周囲が涼羽のことを熱い眼差しで見つめている最中、またしても花嫁姿の涼羽の華奢で儚げな身体にべったりと抱きついて、その胸に顔を埋めてうんと甘えだしてしまう。

妹にお嫁さんにする、などと言われてしまい、涼羽のもうその恥ずかしさは天井知らずになってしまっているのか、耳まで真っ赤にして恥らい続けている。


それでも、自分にべったりと抱きついて甘えてくる羽月のことが可愛いのか、優しく抱きしめてその頭をなでることを忘れない。

このあたりは、涼羽にとってはもはや条件反射となってしまっているのだろう。


「…へえ~…柊から聞いてはいたけど、ほんとに羽月ちゃん、お兄ちゃんのことが大好きなんだな~」


そんな涼羽と羽月のやりとりを、にやにやとしながらじっと見つめている志郎が、感心したかのような口調で、本当に羽月が涼羽のことが大好きで大好きでたまらないんだな、と思い、それを言葉にしてしまう。


そして、涼羽はメイクのおかげで少し大人っぽさが出ているものの、基本は幼げで可愛らしい感じであり、羽月はもう本当に小さくて、幼さが色濃く可愛らしいので、非常に微笑ましい光景となっている。

それがまた、志郎の頬を緩めさせるものとなっている。


「はは、そうなんだよ。羽月は涼羽のことがとにかく大好きで大好きでたまらなくてな」

「そうなんですか…自分は友達に聞いていたんで、知ってはいたんですが…それでも実際に見てみると、こんなになんだ、って思っちゃいますね」

「まあ俺からすれば、自分の息子と娘がこんなに仲がいいのは喜ばしいことなんだけどな」

「なんか、見てるだけで心がほんわかしてきますよね、確かに」

「だろう?家の中でも、羽月は本当に涼羽にべったりで、もうとにかくあんな感じで甘えっぱなしなんだよ」

「そうなんですか…なんか、本当に可愛いですね」


そして、その光景に頬を緩めているのは志郎だけではなく、実の父、翔羽もまた同じである。

涼羽と羽月がこんな風にべったりと仲良くしてくれることは、実の父である翔羽にとっては本当に幸せでたまらないことであり、これからもこんな感じでいて欲しいと、常に願っている。


見ているだけで、心温まるやりとりだと思うのは志郎も同じだったようで、翔羽の言葉に素直に同意することとなり、本当に兄は自分だけのものだと主張しながらべったりと兄に甘える羽月も、そんな妹の主張に顔を真っ赤にして恥ずかしがりながらも、そんな妹を優しく包み込む涼羽も、どちらも可愛すぎるとまで、思ってしまっている。


「ほ…ほら、羽月…そろそろ離れて…」

「や」

「お、お願いだから…」

「や~。お兄ちゃんはわたしがお嫁さんにするの。だから、ぜ~ったいに離してあげないもん」

「!も、もうそれは言わないで…」

「だあめ。お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんだもん。だから、ぜ~ったいにお兄ちゃんはわたしだけのお嫁さんにしちゃうんだから」


このままでは事が進まないと思い、羽月に離れてくれるように言う涼羽なのだが…

そんな兄の言葉に対して駄々を捏ねてしまう羽月。

ウエディングドレスに身を包んだ、どこからどう見ても理想的な花嫁にしか見えない兄を、誰にも渡したくないという独占欲をむき出しにして、べったりと抱きついたまま、離れようとしない。


「う~む…涼羽君も羽月ちゃんも、なんという可愛らしさなんだろうな…誠一よ」

「全くだ…幸介。あんなにも可愛い子達の父親だなんて…高宮君が羨ましいよ、全く」


あまりにも可愛すぎる涼羽と羽月のやりとりを、その頬をゆるゆるにしながら見つめている幸介と誠一の二人。

もう今すぐにでも二人まとめてぎゅうっと抱きしめてあげたくて、たまらなくなっているのを懸命にこらえている状態だ。


「涼羽…お前、本当に羽月ちゃんに懐かれてるんだな~」

「志郎…」

「傍から見てたら、綺麗で可愛いお姉ちゃんと、可愛い妹なのに、お前は『お兄ちゃん』って呼ばれてるから…なんか、違和感すげえな」

「!そ、そんなことないよ!」

「あるある。つかお前、普段でも女の子にしか見られてないのに、どの口がそんなこと言うんだ?ましてや、メイクやらウエディングドレスやらで、余計に女の子らしさが増してるじゃねえか」

「!うう……そ、そんなこと…ないもん……」

「…今日だって、合コンでお前、相手の女子達にいきなり女子扱いされてたじゃねえか」

「!あ、あれは…」

「しかも、男だって言ってんのになかなか信じてもらえなかったしな」

「!も、もう……」

「そら、羽月ちゃんからしたら、お前みたいな優しくて可愛いお姉ちゃんみたいなお兄ちゃんなんて、大好きになる要素しかないだろうな」

「べ、別にそんなこと…」

「なあ?羽月ちゃん?こんなお兄ちゃんだったら、絶対に嫌いになんかなれないだろ?」

「は、はい!お兄ちゃんいつも優しくて、いつも可愛いから、大好きで大好きでたまらないんです!」


この日初めて目の当たりにする、高宮兄妹のあまりにも仲睦まじいやりとり。

そんなやりとりを見ていた志郎が、少し意地の悪さを浮かべた、いたずらっ子のような表情をその顔に貼り付けながら、涼羽に声をかける。


実際、どう見てもとびっきりの美少女姉妹としか見えない二人なので、涼羽が『お兄ちゃん』と呼ばれていることに違和感を感じてしまっている。

しかも、今の涼羽は花嫁としての装いなので、余計にその美少女っぷりが際立ってしまっており、なおさらである、と言える。

この日の合コンでも、女子達に最初は女子としか思われてなかったことまで志郎が声にすると、涼羽はそんな志郎の言葉一つ一つにすでに真っ赤になっている頬をより真っ赤に染めてしまう。


男嫌いな羽月が、ここまで歳の近い男である涼羽をここまで好きになるのも、血のつながった兄であるという安心感もあるのだろうが、それ以上にこの美少女っぷりに、母性に満ち溢れた優しさに包容力、さらにはこうしてすぐに恥ずかしがってしまうところなど、その女子力の高さがあるのだろう。


志郎に不意に問いかけられた羽月は、少しびくりとしながらも、兄、涼羽のことが大好きで大好きでたまらないという思いを素直にそのまま返答として返す。


「じゃあさ、羽月ちゃん」

「?は、はい?」

「お兄ちゃんのこと、俺がお嫁さんにもらっちゃってもいいかな?」

「!!だ、だめです!!お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんだもん!!」

「え~?でも涼羽は羽月ちゃんのお兄ちゃんだろ?兄妹じゃ、ましてや妹じゃ、お兄ちゃんをお嫁さんにもらうなんてできないだろ?」

「!そ、そんなこと言ったら、鷺宮さんだって、男の子同士になっちゃうじゃないですか!だめ!こんなにも可愛いお兄ちゃん、ぜ~ったいに誰にもあげないんだから!」

「ははは、そうだったな。俺と涼羽は男同士だもんな。涼羽があまりにも美少女過ぎて忘れてたわ」

「!し、志郎!」

「もう!だめです!」

「でも、こんだけ可愛くて女子力高かったら、同じ男でもお嫁さんにしたくなっちゃうよな?」

「!!し、志郎!!??」

「!!だ、だめ~~!!お兄ちゃんは、わたしだけのなの~~~!!」


最初と比べると、いくらかくだけたやりとりになってきた感のある羽月に対し、志郎は少し意地悪な質問をしてしまう。

涼羽のことを、自分の嫁にもらってもいいか、などという質問を。


当然ながら、羽月がそれに首を縦に振るはずもなく、お兄ちゃんは絶対に渡さないといわんばかりに涼羽の身体をよりぎゅうっと抱きしめてしまう。

いたずら坊主のような笑顔で、意地の悪い質問を繰り返す志郎に、ムキになって兄は自分だけのものだと返し続ける羽月。


さらには、涼羽があまりにも美少女すぎて、とか、これだけ可愛ければ同じ男でも嫁にしたくなる、など、羽月ばかりでなく、涼羽まで巻き込んで戸惑わせるようなことを、志郎は言い放ってしまう。

羽月がムキになって返してくるのが面白いのか、ついついそんなことをしてしまうようだ。


「もお!!鷺宮さんの意地悪!!」

「ははは、ごめんごめん。ちょっと意地悪が過ぎちゃったな、許してくれな。羽月ちゃん」


気がつけば、あれだけ異性に対して怯えて拒絶するような態度ばかりとっていた羽月が、志郎に対してはずいぶんとその警戒心をなくし、普通にやりとりをできるようになっていた。


「…羽月、志郎と普通におしゃべりできてるけど…大丈夫なの?」

「え?……!あ!…」


男が苦手で、嫌悪感や恐怖心すら抱いていた妹が、普通に自分の親友と話が出来ているのを見て、驚きを隠せないという表情で、涼羽は羽月に声をかける。

そのことに羽月は自覚がなかったようで、いくら兄の親友とはいえ、自分が苦手とする他人の異性に、こんなにも普通に話が出来ていることに、兄である涼羽よりも、羽月自身が驚いていた。


「はは、結構くだけてきてくれてるようで、俺も嬉しいよ」


そんな羽月を見て、先程までのいたずら坊主のようなやんちゃな表情とうって変わって、本当に何かを優しく包み込むかのような優しげな笑顔を浮かべる志郎。

人見知りな涼羽と比べて、非常に人懐っこい志郎であるからこそ…

加えて、人の顔を見て、いろいろと相手の機微を感じ取りながら話せるからこそ、なしえた結果である、と言ってもいいだろう。


そんな志郎に、羽月は普段自分が異性に対して感じているような恐怖感や嫌悪感がなくなっていることに気づき、またしても驚きの表情を浮かべてしまう。


「どうだ?これでちょっとは、男とも普通に接することができるようになるんじゃねえか?」

「……ど、どうかな?わかんない……」

「まあ、今までが今までだったんだ。そんな焦ることはねえんじゃねえか?とりあえず、これは何かしらのきっかけになるとは、俺は思うぜ」

「……うん……」

「まあ、全部の男に対して、なんて考えなくていいからさ。俺みたいなお兄ちゃんの友達とかさ、割と近い感じの男くらいは、慣れておいてもいいとは思うからさ」

「……うん!……」


涼羽が本当に悩んで悩んで、それでもどうにもできず、どうすることもできなかった、妹の男性への忌避感に嫌悪感、そして恐怖感。

それを、こうして少しずつでも解きほぐしてくれていっている、親友の姿。

涼羽は、今この時ほど、志郎のことをすごいと思ったことはなく、そしてまた、今ほど志郎と親友になれてよかった、と思ったことはなかった。


「…志郎」

「ん?なんだ?涼羽?」

「…やっぱり志郎って、すごいね」

「!お、おいおい…なんだいきなり」

「俺がずっと悩んでて、ずっとどうにもできなかったことを、こんなにもあっさり…」

「…まあ、そこは持ちつ持たれつ、でいいんじゃねえか?羽月ちゃんのことは、確かにお前だとどうにもならねえことだったって思うしさ」

「…ありがとう、志郎」

「何言ってんだ。普段から俺、どれだけお前にお世話になってると思ってんだ。こんなんでちょっとでもお返しできたのなら、本当に御の字だよ」

「ふふ……それでもだよ、ありがとう」


自分ではどうにもできなかったことに対して、こんなにもあっさりときっかけをくれた親友に、本当に素直な気持ちで称賛を贈る涼羽。

そんな涼羽に対し、志郎はいきなりのことで驚いてしまう。


自分ではどうにもできなかったという涼羽に対し、志郎はそれぞれ向き不向きもある、というニュアンスの言葉を贈る。

そんな志郎に本当に素直な気持ちで感謝の言葉を贈る涼羽。


だが、志郎は普段から自分の方が涼羽にお世話になっていると、少し照れくさそうなのをごまかすようにぶっきらぼうに言い放ってしまう。

そんな志郎が少し可愛らしく思えたのか、涼羽は優しげな笑顔でもう一度、感謝の言葉を志郎に向けて響かせる。


「えっと…ほんとに二人共、男子高校生なんだよね?」

「仲良きことはいいことなんだけど…」

「なんか、本当の美男子美少女のカップルみたい…」

「花婿衣装と花嫁衣装が、こんなにもマッチしてるなんて…」


非常に微笑ましい、男同士の友情を育んでいる二人なのだが、周囲から見れば、それはもう仲のいいカップルにしか見せず、本当に二人は男子高校生同士なのかと、疑いの眼差しを向けてしまう。

しかし、非常に目の保養になる光景でもあるため、その頬は緩みがちになっているのだが。


「うんうん…非常にそれらしくなってきてて…ますます撮り甲斐がある!そろそろ本番で撮りたいな!」


先程から非常にハイテンションに花嫁姿の涼羽と、花婿姿の志郎を撮影し続ける光仁。

しかし、これでも光仁にとってはウォーミングアップに過ぎず、ここからが本番だといわんばかりに、さらにギアを上げようとしている。


もうすでに数百枚レベルで撮影し続けているその写真達を、カメラのパネルから見返しながら、今からどんな構図で、どんな角度で、などともう非常に楽しげな様子で頭の中で考えながら組み立てていく光仁なので、あった。

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