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アタシ達、涼羽ちゃん大好きだもん!

そろそろ寒くなってきました。

また、自分の苦手な季節がやってきました。


最近、起きるのが辛くなってきてます(笑

「あ~楽しかったぜ!なあ、涼羽!」

「うん、そうだね。すっごく楽しかった」


思春期の男子達が高校生活最後の年に、せめてもの悪あがきで企画した合コンは、思いのほか全員が余計な思惑を抱くこともなく、ただただ、純粋に楽しんで楽しんで、ひたすらに笑顔を浮かべていた。


そして、そんな楽しいひと時も終わりを迎え、全員がカラオクボックスを出て、そのすぐそばの、この日の集合場所となるところで円を描くように集まっていた。


この日初めてカラオケを体験することとなり、その楽しさを思う存分に満喫していた志郎は、開始時の淡白さがウソのように、純粋に楽しめたという笑顔を浮かべて、自分のすぐ隣にいる涼羽にそれを伝えるかのように声をかける。


そんな志郎に対し、涼羽も本当にこの日初めてとなるカラオケを思いっきり楽しめたようで、口調こそ控えめではあるものの、その顔には、本当に楽しむことが出来た、と書いてあるかのような、無邪気な笑顔が浮かんでいた。


「本当か?高宮?」

「今日、本当に楽しめたか?」

「マジで、楽しんでもらえたか?」


そんな涼羽の言葉を耳にした、涼羽のクラスの男子達がこぞって、涼羽に確認を求めるかのように問いかけてくる。

もともと、涼羽を誘ったのは本当の意味で、普段から多忙の中にありながらも自分達にもいろいろ世話を焼いてくれて、さらにはそのほわほわとした雰囲気で癒しを与えてくる涼羽にお返しの意味でこの場を提供する目的だったから。


その目的が達成されたということを伝えてくれる涼羽の言葉が、本当に有難くて…

自分達の耳にはっきりと聞こえてきたし、何より当の涼羽がそんなことでウソをつくような性格ではないと分かってはいるものの、どうしてももう一度聞いておきたい、という心理が働いたようだ。


「うん、本当に楽しかった。ありがとう、今日は俺を誘ってくれて」


そんな男子達に対し、本当に純粋で無邪気な笑顔を惜しげもなく披露しながら嘘偽りのないお礼の言葉を、本当に優しげで、嬉しそうな声で伝える涼羽。


そんな涼羽の笑顔、そして言葉が本当に嬉しくて、涼羽のクラスの男子達は心の中で思いっきりガッツポーズを取るほどの喜びを感じることができた。

こんなにも可愛らしく、それでいて純粋なお礼の言葉が本当に嬉しくて、その顔にもその嬉しさ、喜びというものが浮かんでしまっている。


「(よっしゃあ!高宮がこんなにも喜んでくれてる!)」

「(こんなにも嬉しそうな笑顔で、本当に嬉しそうにお礼なんて、マジ嬉しい!)」

「(よかった!ほんとに!)」


普段からいろんなことで世話になっている恩人に少しでも返したいという彼らの思いは、本当の意味で果たされることとなり、本当に嬉しくてたまらないという思いで一杯となっている。


「ねえねえ!せっかくこんなにも楽しく遊べたんだし、またこれからもこんな風に遊びたいからさ!」「そうそう!もうここにいるみんな、連絡先交換しとこうよ!」

「うん!またこんな風に遊びたいもん!」


そして、涼羽と同じように本当の意味でこの日を楽しむことの出来た女子達から、また今後もこんな風に遊びたいという声があがっており、さらには全員で連絡先を交換しよう、という声まであがってくる。


出会った当初は少し飾り気が強すぎで、ケバケバしささえ感じさせた彼女達も、終わってみればいろんな意味で垢抜けて、その素材そのものの魅力が、いい意味で発揮されるようになっている。

おそらく今の彼女達なら、自然に道を歩いているだけで、すれ違う異性達の目に留まるであろうと言えるような雰囲気があり、決して無闇に自分の肌を晒さない、しとやかさのようなものまで見え隠れしている。


まるで、今の涼羽と同じように無邪気で嬉しそうな笑顔を浮かべていて、少し大人びた容姿の中に言いようのない可愛らしさまで見えるような感じで、そんなギャップも、また男子達の目には、一つの魅力として映っている。


「!それいい!そうしよう!」

「!うんうん、またこのメンバーで遊びに行ったりしようぜ!」

「今日ほんとに、めっちゃ楽しかったしな!」


そんな女子達の提案に、男子達も断る理由などあるはずもなく、むしろこちらからお願いしたいとさえ思っていたほどだったのだ。

当然のように二つ返事で女子達の提案を受け入れ、それぞれが連絡先の交換を始めていっている。


「ふふ…みんな仲良くできて、本当によかった」


そんな光景を目の当たりにして、ただただ純粋に嬉しいのか、涼羽の可愛らしい顔に本当に嬉しそうな笑顔が浮かんでいる。

そして、まるで仲のいい自分の子供達を包み込むかのように慈愛の眼差しで見つめる母親のような雰囲気で、優しげに見つめている。


「ほらほら!涼羽ちゃんも涼羽ちゃんも!」

「?え?」

「え、じゃなくてさ!」

「アタシ達、涼羽ちゃんのこと本当に大好きだからさ!」

「涼羽ちゃんも、アタシ達と連絡先、交換してよ!」


そんな涼羽のことを見かけた女子達が、もうそれは当然と言わんばかりに涼羽の方に声をかけ、連絡先の交換を要求してくる。

実際、自分達のことをその初めてとは思えないほどの歌唱力で楽しませたり、その可愛らしい容姿と、恥ずかしがりやな性格で和ませたり、さらには、自分達に足りなかった、異性の目を惹く女子としての心がけを教えてくれた涼羽のことは、もう本当に大好きで大好きでたまらなくなっており、このまま涼羽とのつながりをこれっきりにする、などということは絶対に嫌だとさえ、思っている。


だからこそ、今この場で涼羽と連絡先を交換して、あわよくば普段からもこの可愛らしくて癒される存在と積極的に会話などして、交流を深めていきたい…

そんな思いまで、芽生えてしまっている。


ただ、どう見てもそのやりとりが、同性同士の感覚で行われていることに、やはりこの辺が涼羽たるゆえんだな、と、すぐそばで見ている志郎や他の男子達は思ってしまっているわけだが。


「…うん、いいよ」


そんな風に自分に飾り気も何もない、純粋な好意を向けてくれている女子達が、なんだか妙に可愛らしく思えて、さらには自分に対してそんな風に好意を向けてくれることが嬉しく思えて、涼羽も気軽に二つ返事で、笑顔でその申し出に肯定の意を声にする。


「!えへへ~!やっぱり涼羽ちゃん優しい!」

「涼羽ちゃんがそばにいてくれるだけで、なんかすっごく心が落ち着くの!」

「それに、本当に優しくて、ついつい甘えたくなっちゃう!」

「でも、だめなところはちゃんと教えてくれるから、本当に大好き!」


そんな涼羽の返答に、女子達はもともと綻んでいた笑顔をさらに綻ばせて、その喜びを露にする。

この日一日、涼羽と一緒に過ごした時間が、本当に彼女達にとって有意義で、心が満たされるものであったということが、彼女達のこの表情によく表れている。


涼羽に自分達のはしたなさ、そして至らなさを優しく指摘されてから、本当に自分達が変わることが出来た、という感覚を感じることができた。

そして、それによって、今までどこか引き気味だった男子達も、本当に自分達のことをよく扱ってくれて、さらには本当に魅力的な異性として見てくれていた。


涼羽の指摘を受けて、すぐに行動に移した結果が、本当に自分達の求めていたものだった。

それを実感することができたからこそ、本当の意味でこの日のこの場を本当の意味で楽しく過ごすことができたのだ。


自分達にそうやっていい方向に変わることの出来るきっかけを作ってくれた涼羽のことが本当に大好きで、構って欲しくて、もうそこからはとにかく涼羽と一緒に歌おうと、涼羽と一緒にマイクを握ってもらっていた。

歌うことの楽しさをこの日初めて知ることとなった涼羽も最初は戸惑っていたものの、すぐに歌うことを楽しんで、さらには一緒に歌ってその楽しさを共有することが楽しくて楽しくてたまらなかった。


ゆえに、最初は人見知りによる恥じらいの方が強く浮かんでいたが、じょじょに笑顔で女子達と楽しそうに触れ合うことができたのだ。


「あ~、今日は本当にいい一日だった~」

「うんうん、マジでマジで」

「あんな可愛い女の子達と連絡先交換できて」

「しかも、また今度も一緒に遊びに行こうっていってもらえて」

「そんで、高宮もしっかり楽しんでくれて」

「鷺宮もしっかり楽しんでくれて」


涼羽と女子達のそんなやりとりを嬉しそうに緩んだ顔で見つめていた男子達も、この日が本当にいい一日だったと振り返っていく。


この日をきっかけに、特定の彼女を作るというところまではいかなかったものの…

この日来てくれた女子達全員と連絡先の交換をすることができ、さらにはまた今後もこのメンバーで一緒に遊んだりしていきたい、とまで言ってもらえた。

そして、自分達のしたことで、普段からいろんなことで世話になっている涼羽が本当に楽しんでくれたこと。

そして、自分達のために、わざわざ時間を割いてまでこの日の合コンに付き合ってくれた志郎が、涼羽と同じように本当の意味で楽しんでくれたこと。


全てが本当に誰にとっても有意義であり、本当に楽しめたということで、男子達の顔に本当の意味での満足感に満ち溢れた笑顔が、浮かんでくる。


志郎も、途中からは男子達と共にマイクを握って歌うことが多くなり、一緒に歌う男子達も志郎のワイルドでパワフルな歌いっぷりについていこうと、無理やりギアを上げていったりしていた。

そして、それが疲れはするものの、非常に楽しくて、心地いい疲れであり、男子達にとって、本当の意味で歌うことを楽しむことができたと、断言できるものとなっている。


「ほら!鷺宮君!」

「?あ?」

「鷺宮君も、連絡先交換しようよ!」

「鷺宮君、本当に歌ってる姿、素敵すぎ!」

「アタシ達、また鷺宮君が歌ってるとこ見たいし、鷺宮君の歌聞きたいもん!」

「だから、また今度カラオケとか行こうよ!」


そして、涼羽と嬉しそうに連絡先交換を終えたところの女子達が、今度は志郎の方へと、連絡先の交換を申し出てくる。

いきなりそんな風に言われて、志郎の方もあっけにとられたかのような反応になってしまうが、そんな志郎に構うことなく、無邪気で可愛らしい笑顔で早く早くと急かすかのように、志郎との連絡先交換を求めてくる。


これまで、ずっと人に敬遠され、怖がられ続けてきた自分に対して、こんな風に人が接してくれること…

それが、妙にくすぐったくて、でも嫌な気はしなくて…

今は本当に自分を変えていくこと、そして自分をもっともっと高めていくことに集中している志郎ではあるが、そんな中でも、孤児院の院長や、秋月保育園の秋月 祥吾園長は、学生らしく遊ぶことも勉強のうちだと、志郎に言っている。


そんな二人の言葉を思い出し、その精悍な顔に、純粋な笑顔が浮かんでくる。


「ああ、またこんな風にカラオケとか、行ってみてえしな」


そして、そんな笑顔を浮かべたまま、女子達の申し出に肯定の意を見せる志郎。

途中、志郎の歌に心惹かれて乱入してきた人達とも、連絡先の交換をしていて、今後もカラオケとか行こうという約束まで交わしている。

その人達と同じように、またこのメンバーでカラオケとか行くのもいいな、と思えて、妙に嬉しくなってくる。


「!ああ~!鷺宮君ほんとにかっこいい!」

「もうほんとにたまんない!」

「歌はうまいし、気取ったとこもなくて、ほんとに話しやすいし!」

「それに、ぶっきらぼうな感じだけど、優しいし!」


この日会った男子達は、女子達から見れば全員が全員、紳士的な対応で、終始自分達を立ててくれて、本当にいい男子達だと思っている。

そして、その中でもやはり一番容姿が整っており、ぶっきらぼうでありながら決しておざなりではなく、自分達を丁寧に扱ってくれた志郎のことは、本当に気に入っているのだ。


いろいろと涼羽の影響を受けているところも多い今の志郎は、そんな風な純粋な好意を向けてくれる人間に対して悪い感情を持つことも、ましてやひどい扱いをすることなどまずない。

それが女性であるならなおさらだと、言える。


そんな無自覚なフェミニストなところが、志郎のことを意識してしまう女子を増やしていっていることに、肝心の本人が気づいていない状態となっている。


まるでサインを求められる芸能人のような状態になっていることに、志郎は苦笑を浮かべながらも彼女達に対し、ぶっきらぼうでありながらも決してぞんざいにしない、紳士的な対応で連絡先の交換を進めていっている。


「高宮!俺達も連絡先交換しようぜ!」

「え?」

「そうそう!同じクラスにいるのに、そういえば連絡先交換してなかったって思って!」

「もうこんな風に遊びに行ったりするんなら、友達なんだからさ!」

「!……」

「クラスは違うけど、俺らとも交換しようぜ!」

「高宮には、俺らもちょこちょこと世話になったりしているから!」

「また、こんな風に遊びに行ったりしようぜ!」


そして、志郎が女子達との連絡先交換を進めていっているそばで、今度は男子達が涼羽の方に連絡先の交換を求めてくる。

そんな男子達の申し出に、思わず涼羽はあっけに取られたかのような表情を見せてしまう。


そして、男子達が、自分のことを友達だと言ってくれたその言葉に、今度は驚きの表情を見せてしまう。

普段からいつも涼羽にいろんなことで助けられている男子達からすれば、この言葉はもう当然のように出てきてしまうのだが…

そんな意識などまるでなかった涼羽の方は、さすがに驚きしか出てこない状態となっている。


だが、自分のことをそんな風に言ってくれる男子達の言葉が嬉しくなって、ついつい、誰もがその目を惹かれるであろう、花が咲き開かんがごとくの笑顔を浮かべてしまう。


「なんか、嬉しい…ありがとう…」


そして、本当に嬉しそうな表情を、自分に連絡先の交換を求めてくる男子達に向けて、思わずお礼の言葉を声にする涼羽。

この日はこんな楽しいことに自分を誘ってくれただけでなく、自分のことを友達として扱ってくれる…

それが、本当に涼羽には嬉しくて嬉しくてたまらず、その笑顔を隠せない状態となっている。


「(!うわ…やべ…めっちゃ可愛い…)」

「(!ああ~…高宮やっぱめっちゃ可愛いわ…)」

「(!正直、ウチの学校で一番可愛いんじゃないか?って思えるくらい可愛いからな~…)」

「(普段から俺らの方が助けられっぱなしっだってのに…こんなことでこんなに喜んでくれるなんて…)」

「(本当にマジ、高宮が女の子だったらって…ついつい思っちまうんだよな~)」

「(もう…別に男でもいい、とか思っちまう時も多いからな…)」


正直、どこからどう見ても男に見えない、あまりにも可愛らしい笑顔を、自分達を見上げながら向けてくれる涼羽に対し、思わずドキリとしてしまう男子達。


思わずその場で抱きしめてしまいそうになるほどの衝動をどうにか堪えながら、嬉しそうなにこにこ笑顔を向けて連絡先の交換を始める涼羽を見つめる男子達。


正直、この日この場に来てくれた女子達には悪いが、やっぱり涼羽の可愛らしさは同じ性別である彼らから見ても飛びぬけているとさえ、思ってしまうほど。

だから、もう男だと分かっていても、ついつい好みの異性を見るような目で見てしまうことも、一度や二度ではない状態なのだ。


そんな涼羽が、今後はもっとこんな感じで自分達に接してくれると思うと、嬉しい反面、どこかで道を踏み外してしまうんじゃないかと、妙な不安を抱いてしまう男子達なので、あった。

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