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高宮君って、やっぱり男の娘って感じよね~

連休前の金曜に職場で足を怪我してから、なかなか痛みがひかないので…

結局、月曜に病院に行きました。

骨折と、診断されましたorz


幸い、メスを入れるほどひどいものではなかったのですが…

しばらく、松葉杖が必要な状態となってしまいましたorz


現場作業は当然ドクターストップがかかってしまったので…

連休が、無駄に伸びてしまいました(笑

「えへへ~♪涼羽先輩め~っちゃええ匂いやわ~♪」

「ちょ、ちょっと…」

「?どないか、しました~?」

「に、匂いなんてかがれたら…」

「?かがれたら?」

「…は、恥ずかしいんだけど…」


現在、昼休憩の真っ最中。

膝を怪我して蹲っていた皐月に応急処置を施して、目一杯可愛がったのち…

一度、保健室で治療を受けておいた方がいいという涼羽の意見により…

二人揃って、保健室の方へと移動している状態だ。


ただし、皐月が膝を怪我している、ということで…

涼羽が皐月を背負って、おんぶした状態での移動となっている。


さすがに、目の前の小柄で華奢な涼羽が自分を背負おうとした時は…

そこまでしてもらうなんて、という思いと…

本当に自分をおんぶして大丈夫なのか、という思いが先にたって…

素直にその申し出を受けることができずにいたものの…


そこは、あの最強の不良と名高い、鷺宮 志郎と真っ向勝負ができたほどの力の持ち主。

まるで重力による抵抗感を感じさせないほどに、皐月をひょいと背負ってしまった涼羽。


そんな涼羽に、思わずこんな風に聞いてしまった皐月。




――――あの…うち、重たくないですか?――――




いくら幼児体型に近い、スレンダーなスタイルで、歳の割にはかなり小柄である皐月とはいえ…

涼羽のような、力強さとはまるで無縁に見える存在には、重いのではないのだろうか…

そんな不安が、よぎってしまうものの…

当の涼羽は…




――――え?ぜ~んぜんそんなことないよ?むしろ、すっごく軽いくらいだよ――――




などと、優しい笑顔で返してくる始末。


そんな涼羽と笑顔と台詞が嬉しくて、それまでの不安が一瞬にして払拭され…

さらには、涼羽にべったりとくっつけることも手伝って…

いいようのない幸福感もどんどん、溢れかえらんばかりに芽生えてきて…

もう、皐月の幼げな顔からは、笑顔が絶えることのない状態とまでなっている。


その華奢で、折れそうなほどに細い身体からは想像もできないほど力があることに驚きを覚えつつも…

涼羽の身体の抱き心地を思う存分に堪能しつつ、さらにはその芳しい匂いまで堪能している皐月。


もちろん、そんな風に自分の匂いをかがれることに羞恥を感じてしまう涼羽が…

自分の匂いを堪能している皐月の台詞に何も感じないはずもなく…

その美少女顔を赤らめて、儚い抵抗の声をあげてしまう。


「…も~、め~っちゃ可愛い~♪涼羽せんぱ~い♪」


だが、涼羽のそんな反応が、あまりにも可愛らしいものであるため…

ひとつに束ねている、長い黒髪に覆われているうなじに顔をべったりと埋めてしまい…

やめるどころか、もっともっとと言わんばかりに、そのきめこまかい、すべすべとした肌も…

年頃の男子とは思えないほどの、自然で芳しい匂いも、さらに堪能していく皐月。


「!ひゃっ!…さ、皐月ちゃん…首に息が…くすぐったいよ…」


自分のうなじに顔を埋めて、より自分のことを堪能してくる皐月の行為に…

思わず、甲高く、可愛らしい声をあげてしまう涼羽。


「涼羽先輩、可愛すぎ~♪もお~、めっちゃ好き~♪」


涼羽の可愛らしい反応にますます気をよくしてしまう皐月。

本当に、母親の背中で甘える幼子のような雰囲気になりながら…

もっともっとと言わんばかりに、さらに涼羽の身体への密着度を高めてしまう。


「さ、皐月ちゃん…恥ずかしいよ…」

「涼羽先輩、ホンマに可愛すぎ~♪こんなに可愛いのに男の子なんて、ぜ~ったい嘘やわ~♪」

「!そ、そんなことないよ…俺…男だもん…」

「えへへ~♪こんなに可愛い涼羽先輩、うちが独り占めしてる~♪」


自分がこうしてべったりと甘えて…

涼羽のことを堪能していく度に、もっともっと可愛らしい反応が返ってくる。

そのことに、皐月の幸福感が際限なしに溢れかえってしまう。


もう、可愛すぎて可愛すぎてたまらなくなり…

この人は自分だけのものと言わんばかりに、ぎゅうっと…

涼羽のその華奢で儚げな身体を抱きしめて…

そのうなじにべったりと顔を埋めてしまっている。


実際、涼羽が男だという感覚がまるでなく…

本当に女の子同士のスキンシップという感覚で、こうしてべったりとしてしまっている。


「だ、だからやめてって…」

「や~♪涼羽先輩が可愛すぎんのがあかんねん~♪」


皐月から見れば、本当に見た目通りの清楚で恥ずかしがりやな美少女…

しかも、どこまでも自分を優しく包んでくれる…


自分に、こんなお姉ちゃんがいたら、絶対にお姉ちゃん子になっちゃう。


そんな確信を抱いてしまう皐月。


本当に、甘えん坊な妹が優しくて可愛い姉にべったりと甘えている…

そんな光景となってしまっている。


お姉ちゃん大好きで、とにかく甘えてしまう妹…

そんな妹に困らされながらも、可愛くてついつい甘やかしてしまう姉…


そんな雰囲気をかもし出しながら、皐月を背負った涼羽の足は…

真っ直ぐに保健室へと、向かっていくのであった。




――――




「はい、どうぞ~」

「失礼しま~す」


皐月と涼羽がいた場所が、保健室からそれほど離れていなかったこともあり…

たいした時間もかからず、あっさりと保健室にたどり着いた二人。


一度、横開きのドアを軽くノックし…

保健室の主がノックに対する反応を声で返してきたのを確認してから…

自らも声をあげて、ドアを開け、保健室に皐月を背負ったまま、入っていく涼羽。


「あら、高宮君じゃない…」


自分の城である保健室に入ってきたのが、涼羽であることを確認した途端に…

頬を緩めて、歓迎するかのように目を細めて笑顔を見せる主。


実際、主にとって涼羽は、まさに二次元から抜け出してきたかのような…

理想の受けであるため…

本当に、涼羽がここに来てくれるだけで、自分のいけない妄想に精が出てしまう。


ましてや、あの一件以来、親友として志郎と非常に仲のいいやりとりを見せており…

それを、何気なしに傍から眺めている主。


それもまた、日々の活力源として…

さらには、日々の素敵な妄想のネタとして…

とてもありがたそうに、とても幸せそうに、涼羽と志郎の二人を見つめている。


また、それを抜きにしても涼羽自身が非常に可愛らしくて…

もう、見ているだけで可愛がってしまいたくなる存在であるため…

こうして、自分の元へ来てくれるだけで、本当に嬉しくなってしまう。


ちなみに、本来は買い専門であり、見る専門である彼女だが…

ここ最近は、涼羽と志郎という、まさに自身の理想を具現化したかのような存在がすぐ近くにいることもあり…

ましてや、その存在達が、自分のオタ心をとことんくすぐるようなやりとりを見せ付けてくれることもあり…

もう、どんなにこの二人をモチーフにしたかのような、それでいて同じシチュエーションにしたかのような作品を探しては、近いものを買い漁って、読みふけってしまっているのだが…

もはやそれだけでは、自身の内に秘めている、溢れかえらんばかりの妄想を抑えることができなくなってきている状態なのだ。


なので、もはや抑えることができなくなっている妄想と情熱を、創作の方に向けることを決意。


現在は、好きな作家の作風をしっかりとイメージし…

なおかつ、デッサンの取り方や、イラストの描き方などを…

専門の書籍を買って、それを読みながら試しに描いていったり…

さらには、分からないことをネットで調べていったり…

その滾るものを、ひたすら創ることに注ぎ込んでいっている。


もはや、いつ暴発してもおかしくないほどに膨れ上がっているものを発散するために始めた創作活動だが…

確かに、まだ駆け出しということもあって大変だとは思ってしまうものの…

実際にそれに取り組んでいると、それ以上に楽しいと思ってしまうのだ。


日中、この学校の保健医として業務に取り組んでいるうちは…

自分の妄想をどんどん溢れかえらせてくれる二人を眺めていることで、そのエネルギーを思う存分に充電し…

自宅に帰ると、その溢れかえらんほどに溜まってしまったものを、創作のエネルギーに変えて…

思う存分に、創作活動を楽しんでいる、という…

保健医と、作家駆け出しの二重生活を、送っている。


試行錯誤しながらも、ひとついいものができると、それが嬉しくて、楽しくて…

さらに別のものを創りたくて、どんどん創作活動にのめりこんでしまう。


しかし、それでいて普段の日常に支障をきたすようなことはせず…

ちゃんと、時間を決めたうえでの取り組みとなっている。


それが、むしろ日々の継続につながる良き要素となっており…

創作活動そのものは、非常に順調に取り組むことができており…

どんなに遅く帰ることとなっても、ほんの少しでもいいから、創作活動に取り組む…

その時間が、なくてはならないものとなってしまっている。


ペースそのものは、決して早いと言えるものではないが…

それでも、自分の好きなことに時間を費やすことができている、ということが…

彼女の心に、いいようのない充実感と幸福感をもたらすこととなっている。


今では、少しずつだがコマ割り、ネーム、ペン入れと…

単一のイラストから、漫画を描くようになっていっており…

自身オリジナルの、薄い本というものができていっている状態だ。


自分の妄想が、自分の望む方向で形になっていっている…

そのことが楽しくて楽しくて、嬉しくて嬉しくてたまらない彼女。


そして、今の自分の人生にこんなにも充実して、楽しいものをもたらしてくれた涼羽が…

彼女からすれば本当に恩人とさえ言えるほどであり…

また、その可愛らしさゆえに、本当に愛すべき存在であるとまで思っている。


だから、いつも涼羽を見る目は優しく、温かいものとなっており…

こうして、涼羽が保健室に来てくれると、無意識で笑顔が浮かんできてしまう。


「いつもお世話になってます、先生」

「何言ってるの、高宮君…むしろこっちこそ、いつも体調悪い子達をここまで連れてきてくれて、本当に感謝してるわ」

「そ、そんなことは…」

「ふふ…相変わらず可愛いわね…ん?…どうしたの?その子…」


そんな涼羽が、体調を崩した生徒を見かけたら、いつも保健室に連れてきてくれるというのも…

彼女にとっては、ますます好印象を抱いてしまうものとなっている。


そして、今この時も、どうやら用件はそれであるということに…

涼羽が背負っている生徒を見て、気づく主。


「すみません、彼女、膝を怪我してるんで、ここまで連れてきました」

「ああ~…そのハンカチ?が巻かれてるところ?」

「はい、そうです」

「そう…応急処置までしてくれてたのね…ありがとう、高宮君」

「いえ…そんな…」

「ふふ…」


いつも真面目で、控えめな涼羽の受け応え。

それがまた、可愛らしく見えてしまう主。

ついつい、また顔が緩んでしまうのも構わず、笑顔になってしまう。


「さ、高宮君。その子をこっちのイスに、降ろしてあげてくれる?」

「はい、分かりました」


そして、怪我人がきたということで、保健医としての使命を果たそうとする主。

その怪我人を背負っている涼羽に、自分の前にあるイスの方に怪我人を座らせるように指示を出す。


涼羽も、その指示に素直に従い…

皐月に負担がかからないように、ゆっくりと優しく、イスの方に皐月を座らせていく。


「………」


声にこそ出さなかったものの、あきらかに涼羽から離れることの名残惜しさが表情に表れてしまっている皐月。

その名残惜しさが、皐月の手に涼羽の制服を掴ませる、ということをさせてしまう。


「?皐月ちゃん?…」

「………」


そんな皐月の行為に、疑問符を浮かべて問いかけるような声をあげてしまう涼羽。

一体なんだろう、という、きょとんとした表情が、その顔に浮かんでくる。


「(あらあら…ずいぶんこの下級生に懐かれちゃってるみたいね…高宮君)」


無言で涼羽のことを離すまいと、制服の裾を掴んで離さない皐月。

まるで、朝保育園に送っていったけど、母親と離れたくなくてべったりとくっついたままの幼子のような雰囲気が、現れてしまっている。


そんな皐月と、きょとんとした表情の涼羽の二人が、とにかく可愛くて…

ますます、自分の頬が緩んでしまっているのを自覚してしまう。


「…涼羽先輩…」

「?なあに?」

「…このまま…治療終わるまで、うちと一緒にいて…もらえます?…」

「………」


本当に姉に甘える妹のように、涼羽に甘えてくる皐月。

関西の訛りを自分が必要以上に気にしていることもあり…

先ほどまでと比べるとずいぶんしおらしい感じにはなってしまってはいるが。


言葉こそ、問いかけの形ではあるものの…

涼羽の制服の裾を掴んでいる手が、絶対に離さないといわんばかりに…

ずっと掴んだまま、離そうとしない。


涼羽自身、昼食の前にトイレに行って、その帰りに皐月を見かけたこともあり…

まだ、昼食を摂っていないのだ。


このまま、皐月の治療が終わるまで、なんてことになったら…

ゆっくりペースの涼羽では、食事自体ができなくなってしまう可能性がある。


だが、こんな風に自分に甘えてきてくれる皐月がとても可愛らしく思えている涼羽は…

自分の食事のことなど、もうすでに忘れてしまっており…

こんな風にしおらしく、自分のことを求めてくれる姿にその母性をくすぐられてしまう。


少しの沈黙から、花が咲き開かんがごとくの笑顔を見せたかと思うと…

皐月の頭を優しく撫で始める涼羽。


そんな涼羽の撫で撫でに、最初は戸惑いを見せてしまうものの…

すぐに目を細めて、心地よさそうにされるがままとなっている。


「うん、いいよ」


そして、皐月が今一番望んでいるであろうことを、言葉にして皐月に聞かせる。


「!ホンマですか!?」

「うん。そんなことでいいなら」

「わ~い!やから涼羽先輩、め~っちゃ好きやねん~♪」

「ふふ、可愛い」


涼羽が自分のお願いを聞いてくれたことがよほど嬉しかったのか…

皐月も、まさに花が咲き開かんがごとくの笑顔を見せる。


そんな皐月が可愛く見えたのか…

まさに壊れ物を扱うかのような手つきで、その小さな頭を撫で続ける涼羽。


そんな二人のやりとりは、傍から見てもとても可愛らしいものであり…

それを見ている保健室の主も、頬を緩めてにこにこと笑顔を絶やさずにいる。


「(もお~…なんか見てたら本当の仲良し姉妹みたい…本当に高宮君ったら、今年十八歳の男子とは思えないわ~)」


涼羽のことは男子だという認識はあるものの…

やはり、その容姿、性格…

そして、普段の仕草や、人に対する優しさ…


どれをどう見ても、やはり男子だとは思えない…

そう、思ってしまう主。


「(高宮君…本当に『男子』っていうよりは『男の娘』って言う方が合ってるのよね~)」


典型的可愛い系の男子であることに間違いはないのだが…

やはり、『男子』というよりは『男の娘』という表現が合っていると、そう思ってしまう主。


しかし、この可愛らしさに自分も癒されていることに変わりはなく…

見ているだけで癒されるやりとりを見せてくれる、涼羽と皐月の二人を優しい眼差しでじっと見つめながら…

膝を怪我した皐月の治療に、取り掛かり始めるのであった。

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