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公安省特特課  作者: ひざ小僧
第1章 Mission 001 Wild Boar (猪)
2/22

邂逅ポイントとEPPS

「ほ~ら、ピンクのお姉さんも、そちらの美人さんも、あなたも、あなたも、とくとご覧あれ! この『なんでもスラッシャー』は、ほんとになんでもキレ~~に切っちゃいますよ! 


はい、このキュウリ! 太くて立派だねー。色も濃いし、こりゃ青春の香りたっぷりだ。え? なんのことかわからない? またまたー、お集まりの皆さんがそんなこと言うと、アルツハイマーを疑わないといけないかもよってね。がははは



冗談はさておき、はい注目!! この『なんでもスラッシャー』にキュウリをこうあてて・・・」


シュコシュコシュコ・・・


「ほら、みてみて、お姉さん方!! こんなに薄ぅーく切れて・・・ しかもほら! 見て、星型!! 」


おおお・・・ とちょっとしたどよめき。


「これだけじゃないよ、みなさん。スラッシャーのこっちの面を使ってみましょうね。はい、ニンジン! 皮をむいてありますよー、それを縦半分に切って。ね、それでスラッシャーにあててこう、すりつけますと・・・」


シュコシュコシュコ・・・


また、おおお・・・とちょっとしたどよめきが。


沖縄県でいうところの、ニンジンの「シリシリ」がスラッシャーから吐き出される。うん、なんてことない、千切りが簡単にできるらしいのだ。


「お姉さん、奥さん、美人さん、ね、見たでしょ? これね、牛蒡(ごぼう)もオッケーなのよ! きんぴら作り放題! まだまだ隠された機能があるんだわ、これが! ほら、もっとこっちに寄って頂戴! 今度はこの面・・・ 」


天照(あまでら)課長、ほんとに特務課の課長なんだろうか。実演販売が本職のように思えてきましたよ。


天照課長は、禿げてはないけど、短く刈り上げた『ごましお』頭。年のころは・・・40代まんなかか後半? 中肉中背、といっても年齢にふさわしくお腹はぽっこりしています。髭はなくて、メガネもかけてなくて、眉毛もまあ、普通な感じで。僕、中年男性にまったく興味ないから、課長の特徴なんかうまく表現できないです。


天照課長が『なんでもスラッシャー』の別の機能を、ギャラリーに対し得意満面に説明しているときに・・・


ピピッ ピピッ


EPPSから脳に警告音が発せられました。EPPSとは、Enhanced Psychic Powers System、拡張型心霊能力システムです。EPPSは、耳にひっかけて使う補聴器によく似ています。公安省特務部の人間は、手術をして耳の後ろに『ジャック』を持っています。このジャックに、EPPSを接続します。EPPSは、脳と直接リンクして、外部と膨大な量の情報をやりとりをすることを可能とする装置です。さらに、特務課については別の機能も付けられていますが、それについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。



邂逅(かいこう)ポイント出現可能性99.9%に達しました。出現まで、あと3分24秒。1分前からカウントダウン開始します。』


EPPSでリンクしている、特務部の指令室から警告が発せられた。ちなみに、このアナウンスをしている指令室勤務の女性は、かなり美人で、ナイスバディです。どうでもいい情報ですが。そうそう、指令室勤務のナイスバディちゃんのことですっかり忘れそうになりましたが、邂逅ポイントとは、この世界に生じる亀裂で、異世界と通じてしまうポイントのことです。異世界とこの世界は、ぴたっと重ね合わさっているようで、何かの原因で亀裂が生じると、異世界からこの世の方に、『思念体』がやってきちゃうのです。いきなり話がぶっ飛んじゃって申し訳ないんですけど。


「このなんでも望むよおーにカットできる『なんでもスラッシャー』、通常価格はなんと3200円するんですが、今日は西急デパートとの共同企画、勉強に勉強を重ねななななーんと!!


1個、2800円だっ!!」


買います! 買います! 冷静に考えれば、大したことないプラスチック製スラッシャーなんだけど、ギャラリーのおばさん達がこぞって商品を買い求めています。僕も忙しく、商品を渡して、お金を計算して、お釣りを渡して、なんてしていますと・・


ピピッ ピピッ


『邂逅ポイント出現まで1分前・・・ 55秒前 ・・・ 50秒前・・・』


やべっ! カウントダウンが始まった!

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