表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公安省特特課  作者: ひざ小僧
第1章 Mission 001 Wild Boar (猪)
1/22

公安省特特課の初仕事

「はいはいはいー、よってらっしゃい、みてらっしゃい! ちょっとそこのお姉さん! そ、そこのピンクのブラウスのお姉さん! まるで周りに花が咲いたようだぁ。ホントにおきれいですねぇ、あたしゃ見惚れちまったよ。お姉さん、今日はラッキー・デイだねぇ。西急デパートに来たのは私に出会う運命だったんですよ! ほら、こっちこっち、寄って寄って。」


ここは東京の繁華街にあるデパートの9階催物会場。さっきから歯の浮くようなセリフで呼び込みをしているのは、だみ声の中年男性。ピンクのブラウスを着たポッチャリおばさんよりも派手な、真っ赤っかなハッピを着ています。


「きれいなお姉さんに紹介したいのは、これ。『なんでもスラッシャー』。お姉さん、料理得意でしょ? ご主人、毎日おうちにすぐ帰ってくるでしょ? お姉さんの料理、きっとおいし~いもの! え? そうでもない? そんなことないと思いますよー。え、ホントに? 旦那いつも午前様! じゃそんな薄情な旦那と別れてさ、あたしと人生やり直しちゃおうか? がははは!」


・・・ 見てる方が恥ずかしい。ポッチャリおばさんを口説くより、早くその、ドラえもんの道具みたいな名前の商品の説明をした方がいいんじゃないですか、ギャラリーも集まってきたことだし。


そう、赤いハッピのおっさんは、催物会場で調理道具の実演販売をしています。僕は、訳あってこのおっさんの実演販売の手伝いをしている最中なのです。


僕の名前は、諌凪惣亮(いざなぎそうすけ)。公務員試験にはなんとか合格していたので、この春大学を卒業して『公安省』に入省することができました。公安省は、日本国の内憂外患(ないゆうがいかん)の排除に務める省です。西暦2010年3月11日東日本大震災の後、あれよあれよという間に国力が落ち込みました、見事なほどに。西暦2030年を超えると、以前に比べて明らかに日本国の治安は悪くなり、内憂、すなわち国内の反乱分子や、外患、すなわち外国からの干渉を多く受けるようになっていました。これらに対処すべく設置されたのが『公安省』なのです。


いつかお話する機会があると思いますけど、諌凪家はかなり特殊な家系です。その特殊性ゆえに、僕は公安省の花形である内憂部極左課や極右課、外患部のアメリカ、欧州、中国等の各課ではなく、特務部に配属されました。特務部は、かなり変わった連中を扱う部で、カルト集団、新興宗教の危ないやつとか、内憂部、外患部とも連携して、とみに狂気を増した国内外の狂信集団の対策を任務としています。


そんな特務部の中の『特務課』といったら・・・ そう、変わり種中の変わり種を扱う部署だということです。


特務部の研修を終えて、今日が本当の仕事始めなはずなのですが・・・


特務部には特務課の机なんか無く、研修後に『とりあえず、特務部長の指図に従え。」という命令をもらって、特務部長にお伺いを立てたところ、特務課長の仕事を手伝え、という命令を受けた訳で。


特務課長が、今、実演販売をしているおっさん。天照(あまでら)課長です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ