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摩訶不思議  作者: シエラ
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勾玉の秘密

勾玉の形、皆さんはご存じですか?

とても深い意味がありそうですよ。

昔々のお話です。


あるところにお姫様がおりました。

そのお姫様はついこの間、結婚したばかりの初々しい新妻でした。


結婚した相手は、生まれたときから定められていたお人でした。


その新婚生活は、楽しく幸せなものでありました。

一人暮らしの苦労が長かったお二人は、互いに今までのその苦労を分かち合い、真実の愛というものを知りました。


お二人はいつもいつも寄り添いあって生活しておりました。



けれども、世の中そんなに甘くはないのでした。


お姫様はそのお立場から、自身の霊を人々に見せるのが小さな頃から定められたおつとめでした。

お姫様の霊を空から聴くことのできる民こそ、その国の真の民族でした。


けれど、その霊は悪者たちの様々な悪知恵の成果で、隣の民族にまで聞こえてしまうことになってしまいました。


隣の民族は、その霊を聴きながら、お姫様の結婚生活がねたましくてしょうがなくなりました。


そして、さらなる手段を使って、お姫様の夫にいろいろな悪事を企みました。


お姫様の夫は、大事な絆であったそのお姫様の霊が見えなくされて、お空でお話をすることも出来なくされました。


また、憑依といって、野蛮な霊が夫にまとわりつくようにもなりました。

そして、その悪霊は、お姫様の夫の身体を自由自在に操り、言葉まで言いたくない言葉を言ってしまうようになりました。


お二人の結婚生活はこれでは破綻してしまいます。



しかし、お姫様には不思議な力が授けられておりました。


民に霊を見せることの出来る姫様だけに授けられたパワーでした。


それは石のパワーを強力に引き出すことの出来る不思議な力でした。


お姫様には遠くご縁のある国から様々な石が届けられておりました。

お姫様がそれらの石を持つと、石はパワーストーンに変わりました。

そしてお姫様の夫にまでその石のパワーは強く響きました。



お姫様の夫が、隣の国の悪霊に悩まされていたその時にも石は届きました。それは・・・・・厄払いのパワーを持つ水晶でした。

しかしその石はいつもと形が違います。


そうです、その石は宮中の方々が持つ、三種の神器の一つの勾玉の形と同様にあつらえてあったのでした。


お姫様は届けられた二つの勾玉に想いを込めて、お社に上げてから、お姫様に代々伝わる儀式を執り行いました。

と言っても、お一人でされる小さな秘め事です。


お姫様にはその秘め事をしていると、どんどん勾玉に二人の命が入っていくのが分かりました。



そして秘め事の最後に、勾玉は貴い紙に包まれ、袋に入れられました。




準備万端です。


お姫様はその夜、悪霊に悩まされて疲れ切っている夫の体の上に、その勾玉の袋を載せました。



するとどうでしょう。


お姫様の夫の体は、あらゆる箇所でドキッドキッと高鳴り、青ざめていた肌も、血液の循環が良くなり赤らんできました。

そして、眠りながら夫は言いました。

「姫が傍にいてくれる。姫は私のものだ。こんなにも姫を感じられる。私が愛しているのは姫ただ一人なのです、神様」と。

そして、眠りながら涙を流しました。


お姫様のお空の端の方で、こんな悲鳴も聞こえてきました、

「あれ~、私たちの憑依が効かないぞ~、どうしたというんだ~」と。



お姫様はどんな石よりも勾玉が一番パワーを発揮してくれたことをとても喜びました。


勾玉というものは、夫婦の絆を命の底で結び、不思議な力で守ってくれる大事な大事な形なのでした。



それは尊い命を表す形なのかもしれません。



おしまい


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