絆 ~あなたと私
大事な人との絆。不思議なパワーを持っています。眠っているときに2人で同じ夢を見ていること・・・・・そんなことありませんか?
とある町にきーちゃんとのぶちゃんという子供が住んでおりました。
二人はいつも一緒に遊びました。
きーちゃんものぶちゃんもどんなときでも手を離さず、小さな手を握りしめたまま遊んでいました。
きーちゃんが他の子にいじめられているとき、のぶちゃんは必ずやっつけてくれました。
またのぶちゃんが困っているとき、必ずきーちゃんはのぶちゃんを助けてあげました。
お昼寝だって、二人はいつも隣同士になって眠りました。
だってね、二人は生まれたときからの許嫁だったのですから。
二人は毎日がうれしくてうれしくて仕方ありませんでした。
ある時、お昼寝をしながらきーちゃんは、夢を見ました。
のぶちゃんときーちゃんとどこかの知らない犬と遊んでいる夢でした。
広い広い野原を二人は犬と一緒に笑いながらかけっこしていました。
きーちゃんはうれしくなって目を開けてしまいました。
すると隣で眠っているのぶちゃんは、目を閉じたままでニコッとほほえみながら言いました。
「きーちゃん、又眠ろう、そしてさっきの犬の夢の続きを見たいよ」と。
きーちゃんは嬉しくなって、のぶちゃんの手を握りながらまた目を閉じるのでした。
それから、数十年して二人は結婚しました。
夫婦になると喧嘩をすることもありました。
けれど眠るときはいつも手をつないでいます。
すると結婚後も、あの幼いときのように二人一緒に同じ夢を見ることがありました。
けれども今度は楽しい夢ばかりではありません。
悲しい夢も、怖い夢も、いやな夢も見ます。
けれど、目を開けると必ず隣にのぶちゃんがいます。
毎日います。
のぶちゃんはあの頃と同じように、目を閉じたままでニコッとほほえみます。
「大丈夫だよ、きーちゃん。僕がここにいるのだから」
おしまい