秘伝の技
清原夏野、皆さん教科書で習いませんでしたか。
むかしむかし、京の都にキヨハラナツノという右大臣がおりました。
この人は、芸術・文化・政治となんにでも秀でた才能の持ち主でした。
しかし、騒がしい世の中になってきてしまったことを痛み、自分は身分のある身でありながら、
臣籍降下をして右大臣となりました。
そして、時の天皇の勅旨を受けて多くの業績を残しました。
別名、双岡大臣ともいわれました。
ところで、この人には代々わたる秘伝の技がありました。
それは霊の目と耳と口を持ち、自由自在に使えるという技でした。
霊の目は、遠い国まで見つめることができ、霊の耳は、様々な人の考えや気持ちを聞き分け、
霊の口は、遠い国の様々な人とお話をすることができました。
また、その霊は様々な地方の民の体の中へ入ることが出来て、その民の心の様子を診てあげるこ
とが出来ました。
この人はこのような技を使って、世の中の平和と、菊の人々の繁栄に全身全霊を捧げました。
その霊の目と耳と口によって、この人の心は国々の隅々まで伝わり、世の中は少しずつではありま
すが、良い方向へと向かっていきました。
その頃の天皇様も、その様子を感じ、安堵して各地の神社へ行幸を執り行いました。
キヨハラナツノの秘技は、その後の世へも代々伝わっていったということです。
お し ま い