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今日もとっても幸せ  作者: 御咲花 すゆ花


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7/8

7 3/24 春の新芽(ロッタ)

 冬の森は、まだ少しだけ寒かった。

 ロッタは両手をこすりながら歩いていた。


「寒い……寒い。……もう春になったんじゃないの?」


 背負った薪がカタカタと揺れる。

 吐く息は、まだ白い。


「もう! 春って聞いたのに!」


 ロッタは地面を軽く蹴っ飛ばす。

 そのときだった。


「あれ……?」


 足を止める。

 しゃがみ込む。

 枯れ草の間に、小さな緑が見えた。

 ロッタは目を丸くした。


「……え?」


 指でそっと触れる。

 やわらかい。

 小さなちいさな葉。


「嘘……」


 ロッタの顔が、ぱあっと明るくなる。


「芽だ……!」


 新芽だ。

 思わず声がはずむ。


「芽が出たぞ!」


 森の中にロッタの声が響く。

 周囲を見回す。


「あっ……こっちにも」


 少し先にも、小さな緑。


「あっ、あっ、あっ!」


 ロッタは薪を地面におろして、駆け寄る。


「すごい……」


 しゃがむ。

 春の訪れが感じられた。


「むへへ……」


 うれしくて、なんだか笑ってしまう。

 春が来たんだと、ロッタは両手で頬を押さえる。


「うわあ……!」


 空を見上げる。


「ねぇ! 見てる!? 春が来たんだよ」


 だれもいない森に向かって叫ぶ。

 どこかでは、その声を鳥が聞いているかもしれない。

 風が少しだけ、やわらかかった。

 ロッタが小さな芽に顔を近づける。


「がんばったんだね……」


 そっと言う。

 寒かっただろうに。

 指でそっと土を寄せた。


「えらいなぁ……」


 ロッタの目が少しうるんだ。


「……私もがんばんなきゃ」


 そう言って立ち上がる。

 薪を背負う。

 重いし、町までは遠いが、さっきより少しだけ背中が軽く感じられた。


「今日もとっても幸せ」


 ロッタの足取りは軽い。

 森の中に、小さな春がいくつも芽吹いていることを、ロッタはすでに知っていた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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