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俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?  作者: 八神 凪


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第四.五話 今日のウェスティリア

 

「魔お……お嬢様、それでその新たな魔王とやらはどこにいるか分かっているんですか?」


 紫のロングヘヤ~をした、ピンクと青を基調とした鎧の女性が、光翼の魔王ウェスティリアへ新しい魔王について尋ねていた。

 ややツリあがっている目が勝気であろうことを物語る。


「大丈夫。それっぽい気を西の方から感じましたから、そちらを目指せば会えるはずです」

「(どれっぽいのだろう……)」


 と、黒と白の基調としたローブと金の刺繍が入ったベレー帽をかぶった緑のセミロングをした女性が心の中で突っ込みを入れる。

 ウェスティリアよりも背は高いが顔立ちはわずかに幼さが残る。


 新たな魔王が産まれたことを感じ取ったウェスティリアは、その魔王を仲間に引き入れるべく二人のお供を連れて旅に出ることになった。

 とりあえず三人は馬車を使うか徒歩かを考えるため、町へと繰り出したところだったりする。


 余談だが、前回登場した爺やは最後までついていくと粘った。しかし、着替えや部屋割り、お風呂などを考えると、護衛をするなら女性のみの方がいいだろうと、紫のロングヘヤ~の剣士リファが説得し渋々了承。

 そしてもう一人のお供はリファの友人である賢者ルルカ。リファに半ば強引に連れてこられた、完璧な即席パーティだった。


「うーむ、やはり危険では? お嬢様はこと戦闘においては強いですが、ボーっとされていることがあるので……痛っ」

「ボーっとなんてしていません。リファは失礼ですね」


 眠たげな目を見開きウェスティリアは持っていた杖でポカリとリファの頭を叩いた。背が低く頭二つ分くらい違うので、杖を持つ手がプルプルしていた。


「ま、まあ、ウェスティリア様しか新しい魔王を感知できないなら仕方ないよ。西ってことは大陸を渡らないといけないんだね。ボク達と真反対の大陸でいいのかな?」

「そう。ルルカは分かっている。流石―― ……? くんくん……」


 ルルカに拍手をして称えていると、リファが腕組みをしてくどくどと話始める。


「大陸を渡るなど……お嬢様は町の外すらまともに出たことが無いのに……先代の魔王様はなにを考えておられるのか……」

「まあ、ウェスティリア様も成人したし、いつまでも過保護はマズイと思ったんじゃないのかな。見聞を広げるって意味ならボクはいいと思うけど?」

「しかし……ってあれ? お嬢様?」

「あれ!? あ! リファ、あっち!」

「いつの間に!?」

「美味しい……!」


 フラフラと匂いに釣られたウェスティリアは串焼きをもぐもぐと食べていた。屋敷暮らしのウェスティリアにとって、屋台の料理を食べるのは人生初の体験だ。


「嬉しい事言ってくれるね、でもお代はもらうよ。一本、百セラだ」


 屋台の親父さんの言葉を受け、ダッシュで近づいたリファがすかさずお金を出す。


「これで頼む」

「ぶっ!? 屋台で一万セラを出すかね!? もうちょっと細かいのはないのかい?」

「あー! ボクが出しますから! はい、百セラ!」

「あいよ、毎度!」


 キリっとした顔でリファが一万紙幣を出すと、屋台の店主は目を丸くして驚いていた。そこへルルカがやってきて慌てた様子でお金を払った。


「す、すまないルルカ。この紙幣は使えないのか?」

「そういう訳じゃないけど、こういう屋台は小銭の方がありがたいの。人手が足りないと両替にも行きにくいからね」

「なるほど……」

「(リファもだいぶ世間ずれしてるし……ここはボクがしっかりしないと……はあ、これから大丈夫かなあ)」


 と、ルルカがため息をついた時、ウェスティリアがまた姿を消していることに気付き、慌てて周囲を見渡す。すると、ある一点を見つめている姿を発見する。


「お嬢様! 勝手にウロウロされては困ります!」

「……あっちに、魔王が居る気がします」


 追いついたリファのお小言もどこ吹く風で、ウェスティリアはフラフラと歩いていく。そこは屋台通りだった。


 今まで屋台の食べ物など口にしたことの無かったウェスティリア。

 彼女が庶民の食べ物に魅了されるにはこの屋台通りの匂いは十分な破壊力があった。

 せめて最初に食べた串焼きがまずかったなら……そう思うと悔やまれてならない。


「お嬢様ー! そっちには食べ物の屋台しかありませんよ!」

「私にはわかる。近い……!」

「お嬢様ー! 『△』(こんな口)しても誤魔化されませんよ!」

「こういうところで食べる串焼きとかって何故か美味しく感じるんだよね……ってそうじゃなくて、こんなのでホント、大丈夫かなあ……」


 まだ町から出ていない今が引き返すチャンスなのでは? と、ルルカは人ごみに紛れて行く二人を追うのだった。

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