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俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?  作者: 八神 凪


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第十一話 依頼達成の報告をして養成所へ行こう!

 

 朝風呂をいただいた後、ニルアナさんの作った朝食をしっかり食べた。

 バターパンにサラダを筆頭に、コーンスープと目玉焼きというオーソドックスな食事は俺のテンションを大きく上げてくれた。

 最後に紅茶らしきものを飲んでゆっくりした後、俺とアンリエッタはユニオンへ向かうため外に出た。


「いってらっしゃーい、気を付けてね」

「いってきますー!」

「お世話になりました」


 俺は礼を言ってから果樹園を後にして広場まで歩いていく。

 そこには昨夜倒したフォレストボアが荷車に乗せられており、村人がその周りを囲んでいた。村人の一人がこちらに気付き、手を振って叫んでくる。


「おーい、アンリエッタに兄ちゃん! 運搬の準備は出来ているぜ、一人で運べるか? 手伝うか?」

「ありがとう、おじさん! カケル一人で大丈夫? ひょろいのに」


 おじさんの言葉にアンリエッタが俺に問いかけてきた。荷台を引くための棒に手をかけながら答える。


「ひょろいは余計だ。もう忘れたのか? 俺はこいつを倒した男だぞ?」

「そりゃ確かにそうだけど、死体って重いのよ?」

「まあ見てろって……んしょっと……うん、問題なさそうだ、荷車は借りていいのか?」

「おお、すぐ使うことはないからいいぞ。村の入り口に一番近い家がウチだ、適当に玄関横にでも置いてくれればいい」

「あ、素直に凄い」

「助かる……って、あれ? 村長さんは?」


 こいつの被害に困っていたのは村を管理する村長さんも同じハズだが、この場には居なかった。まだ朝は早いし、寝ているのだろうか?


「今日は見てないな? 礼金はユニオンで受け取れるから大丈夫だろう、村長には俺達から言っておくよ」

「……ま、いいか。んじゃよろしく頼むよ」


 槍を荷車に乗せて荷車を引きはじめる。『力』にパラメータを振り分けたままなので、それほど苦になることも無かった。


「ようし、行くかー!」

「しゅっぱーつ♪」


 というわけで村人に見送られながら俺とアンリエッタは町へと向かう。


「~♪」

「アンリエッタ、ご機嫌じゃないか」

「そりゃあね! こいつのおかげでリンゴの木は何本かダメになったし、落ちたリンゴも馬鹿にならない損害よ? それが今日から無くなるんだから、テンションは上がるわ!」


 それもそうだよな……リンゴも一年中とれる訳ではないだろうから、採れる時期に荒らされたら収入に打撃を受けるのは当然か。

 そういやリンゴは一個いくらなんだろうな、なんとか一日で返せるアテができたのは良かった。

 そんな話をしながら移動していると、あっという間に町へと着いた。慣れたらそれほど遠く感じないものだ。


「おお!? フォレストボアか!? 兄ちゃんが倒したのか?」

「ああ、偶然だけどな。なんとかなった」

「ムウ……! やはり只者ではないのか……?」

「なりたてだけど、一応冒険者だよ!」


 相変わらずの門番二人とあいさつを交わして町へ入っていく。

 すると俺とアンリエッタが注目されていることに気付いた。俺はまた見ない顔だと言われるのではないかとドキドキしながらユニオンへと向かう。

 

「とりあえず置いとくか。誰も盗らないだろうし」

「監視役の人もいるし大丈夫よ」


 ユニオンの中までフォレストボアを引くわけにはいかないので、入り口に置いていくことにした。


「こんにちはー」

「ミルコットいるー?」


 相変わらず昼間から酒を飲んだりしている人達を尻目に奥へ移動する。

 受付でアンリエッタがミルコットさんを呼ぶと、別の人が呼んでくれてすぐに裏から出てきてくれた。


「あ、カケルさんにアンリエッタちゃん! 丁度良かった、そろそろ養成所に講師が来る時間よ」

「ああ。だけど、その前に……」


 と、俺が言いかけたところでアンリエッタが興奮状態でミルコットさんに喋りかけていた。


「あのね! カケルがフォレストボアを倒してくれたの! 外に倒した死体があるから、確認して!」

「え!? まさか!? 昨日契約したばかりで、レベル一だったんですよ!?」

「信じられないかもしれないけど本当なの! 来て来て!」

「ああ、ちょっと引っ張らないで!?」


 自分の手柄のようにバタバタとミルコットさんを連れて外へ出て行ったので俺も着いていく。

 外へ出ると、彼女がフォレストボアの死体を見て目を大きく見開いていた。


「ほ、本物……分かりました。君、これを査定に出して。報告と引き渡しは私がやります」


 監視役らしい職員が「はい」と答えた後、荷車をどこかへ持って行った。


「査定?」

「ええ……ってそれも知らないんですか……? 魔物は食べられるものがあるし、フォレストボアなら牙も皮も立派な素材になりますからね。あれを解体してお金に変えて冒険者に渡すんですよ」


 付け加えて、遠出した場合持ち運びに困難になるため、あそこまで丸々一頭というのは珍しいのだとか。

 体に傷はあるものの脳天を貫いて絶命させているので、状態もいいんだそうだ。とりあえず俺達はもう一度ユニオンの受付へ戻る。


「それでは、アンリエッタちゃんの依頼達成を確認したので三千セラになります」


 紙幣二枚と五百と書かれた硬貨一枚に百と書かれた硬貨五枚を渡された。日本円で三千円ってとこか? 

 命がけの割には安いと思ったが、相場は五千セラって言ってたっけ。強い冒険者ならあっさり倒せるだろうから、一日の稼ぎとしてはまあまあという感じだと思った。


「ありがとう。じゃあ、アンリエッタ、リンゴ代を払うよ」

「うん、お金が無いのにごめんね……」

「気にするな、お前おかげで仕事にありつけたし、これからのことを考えるとお釣りがくるくらいだって! で、いくらなんだ?」

「えーっとリンゴは二十五個だっけ?」

「だな、途中二個食ってリュックに二十三個あったから……そうなる」

「なら一つが六十セラだから千五百セラね!」

「え……アンリエッタちゃん?」


 ミルコットさんがアンリエッタに声をかけようとしたが、それをワザとらしい大声でかき消しながら俺に手を出す。


「あー! あー! ほら、早く出しなさい!」

「あ、ああ。これで……サンキューな」


 俺は先程の紙幣と硬貨を渡すと、アンリエッタはニコッと俺に笑いかける。


「毎度あり! ……本当にありがとう、これで果樹園も平和になるわ」

「ああ、役に立てて良かったよ」


 俺笑顔で頷いていると、時計に視線を移したミルコットさんが慌てて俺の肩を叩く。


「いけない!? そろそろ時間になるわ、カケルさん養成所に! 二階にあがって一番奥の部屋です」

「おっと、そんな時間か! 色々ありがとな、アンリエッタ! 行ってくる」

「終わったらまた家に来てくれる? フォレストボアを倒したお祝いをしたいんだけど?」


 おや、俺はお金を返したら終わりだと思っていたけど、アンリエッタはそのつもりが無いようだ。

 ニルアナさんの料理は美味しかったし、まだ町のこともよく分かっていないから聞くのもいいかもしれないな。


「分かった、終わったら荷車を戻しにいくだろうし、その足で寄らせてもらうよ」

「うん! 絶対よ!」


 アンリエッタが手を振りながらユニオンを走り去って行くのを見送った後、俺はミルコットさんに言われた部屋へと向かった。

 ふむ、最初に会った時より元気な笑顔になった気がする。


 「痛っ……」


 そう思っていると頭痛がして顔をしかめる。寝不足かな……? まだ疲れているのかもしれない。


「ここだな?」


 引き戸を開けるとガラリという古風な音がした。

 その部屋には白髪と白鼻髭の……おじいさんと呼んで差し支えない、いかつい顔をした人が俺をジロリと睨む。


「お主が新人冒険者か?」

「あ、ああ。カケルだ、あんたが講師の……?」

「おう! ワシがカモルの町養成所講師、ゼルトナじゃ!」


 ドーン! という効果音が聞こえてきそうな迫力で自己紹介される。この爺さん、タダ者ではない……!


「ほれ、突っ立ってないで席に着け。お主で最後じゃ」


 一番後ろの端じゃ、と言われ俺は移動する。すると、くすくすと笑い声が聞こえてきた。


「ひょろいのがきたなあ」

「ダメよ、聞こえちゃうわ」

「……」

 「早く座ってよー」


 よく見れば子供ばかりが三人……七、八歳くらいか? そして俺と同じか少し下であろう男が一人座っていた。子供たちにブーイングを受け、俺は慌てて席に着く。


「すまない!」

「よぅし! 全員そろったな! それでは今日の授業は……」

「(授業……!?)」


 ゼルトナ爺さんが前にある黒板に問題を書きはじめ、文字通り授業が始まった……!



 ◆ ◇ ◆



「――であるから、足し算と違ってかけ算は数が多くなればこっちを使う方が効率が良いのじゃ。では問題じゃ! 子供が六人おる。リンゴを一人あたり八個ずつ配るには、 リンゴは全部で何個必要じゃ? オッソ!」

「お、俺!? え、えーっと……六かける八で……四十八個!」

「うむ、正解じゃ」

「うぇーい!!」

「おおー!」



 ……あれから三十分……俺は子供と爺さんのやりとりを後ろでボーっと見ていた。うん、これってあれだ。


「学校じゃねぇか!? 冒険者養成所はどうした!?」

「うるさいぞ! 18782《いやなやつ》_+18782は!」

「うえ……!? えーっと……」

「遅い! 答えは37564(みなごろし)じゃ!」


 俺が我慢の限界を越えて叫ぶと、謎の問題を出された。

 答えられず俺は盛大な拳骨を食らった……


「いてえ!? 理不尽だろ!」

「すまんが、もう少し待て。とりあえずお主はこれを読んで待っててくれ」


 爺さんが俺に一冊の本を渡して再び授業に戻る。

 置いていった本はかなり使い古したボロい本だった。そして拍子には『冒険者の心得』と書かれていた。


 ペラペラとめくるとジョブや魔法、スキルについての基本的なことが書かれていた。ただ、読むだけでは頭に入ってこないので俺は暇になった。


 そういえばフォレストボアを倒したんだからレベルが上がっているんじゃないか? 俺は試しに心の中で『オープン』と呟いてみた。

 お、ちゃんと出た! どれ……。


 【#壽命 懸__じゅみょう かける__#】


 レベル:4


 HP:170/170


 マナポイント:1688/1688


 ジョブ:(未収得)(回復魔王)


 力:25


 速:20


 知:8


 体:16


 魔:12


 運:14


 【スキル】


 回復魔王


 ヒール:消費MP 25


 ハイヒール:消費MP 30

 

 能力値上昇率アップ


 全魔法適正


 全武器適性


 ステータスパラメータ移動


 全世界の言語習得:読み書き


 【特殊】


 寿命:99,999,997年


 魔王の慈悲


【生命の終焉】

 

 TIPS



 おお、二レベルも上がっている……! 

 『力』と『速』に魔力から五ずつもらってるから本来値とは少し違うけど、良い上がり方……ってHPとマナポイントと魔力の上がり方がおかしい気がする。

 気のせいだろうか? 能力値上昇率アップのスキルのおかげだろうけど、その三つだけは軒並み高い。そして『知』はやはり低い。ぐすん。


 で、スキルと寿命は変わっていないけど特殊に『生命の終焉』とかいうのが増えているな。後、気付かなかったけどTIPS? もある。


 一つ試してみるか? そう思ったところで、爺さんから声をかけられた。

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