第7話 「放課後の誘い──青き王女と黒き影」
● 一人きりの部屋
自宅に戻った絢は、ベッドに倒れ込んだ。
天井を見つめると、胸の奥がずっと痛い。
(……なんだよ、これ)
悔しさか。
嫉妬か。
それとも――焦りか。
名前をつけたくなかった。
「……黒瀬のやつ……」
手で顔を覆う。
感情が漏れそうになるたび、喉が熱くなる。
(あいつ、あの転校生に何て言われてんだ?)
考えれば考えるほどイライラする。
けれど同時に――怖い。
(……取られんのだけは、マジで……やだ)
自分で思った想いに、心臓が跳ねた。
そして、ゆっくりと息を吐き――
(……明日。言う。
あたしの気持ち、少しくらい……ぶつけてもいいだろ)
絢はようやく目を閉じた。
その横顔は、決意を宿した大人びたものだった。
● 校門での遭遇
絢は早めに登校した。
黒髪のウルフカットを指で整えて、
制服の襟を軽く立てる。
完全に“戦闘モード”の顔つきだった。
(……来たら言う。
逃げんじゃねぇぞ、黒瀬)
そこへ――
「絢……? なんか今日、雰囲気違くね?」
早く来ていた玲央が、驚いた顔で声をかけた。
絢は一瞬だけ目を見開いたが――すぐに、
いつも通りのクールな表情に戻る。
「別に。……ちょっと話あんだけど?」
玲央は戸惑いながらも頷いた。
(あ……あれ? なんか今日の絢、怖……いや、綺麗? いや怖い?)
玲央の心臓が落ち着かない。
その瞬間――
「おはよう、玲央。……あら、神宮寺さんも?」
セレナが現れた。
絢の目が細くなる。
玲央の心臓は跳ねる。
空気が一気に張りつめる。
――そして、三人の関係が本格的に動き出す。




