「豪快! 両国夢想」第1話「相続人を探し出せ」その6
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愛法院では、小ぢんまりとした部屋に通され、
いろいろなご馳走を出され歓待された私。
小坊主たちが入れ替わり立ち替わり食べ物を運んでくる。
なかでも気に入ったのが、肉を使わない中華料理。
チンジャオロースーだろうが、酢豚だろうが、
肉部分は全部大豆でできているという。
「お、おいしい…」
これだったら楽々ダイエット出来そう、
なんて呑気に食べていた私だったけど、
よくよく考えたら、あのおじいさんをここから助け出さなきゃいけないんだっけ。
「こちらがデザートになります」
これで打ち止めならもう人は来ない…。
私は給仕してくれている、割とイケメンな小坊主を捕まえると、
R-15的な女の武器を最大限に発揮して必要な情報を収集した。
その情報によると、あのおじいさんは地下にある独房に閉じこめられてるらしい。
聞きたいことを聞き終わるとイケメン小坊主に当て身を喰らわせて気絶させるておいて、
ドアを少しだけ開けて外の様子を伺う。
誰も居ないのを確認して、廊下に出ると、
小坊主から聞き出した道順通り、地下の独房を目指す。
非常階段へ通じる防火扉をそっと開け、
足音を立てないように階段をゆっくりと下りていくと、
下から人の気配がする…。
ポケットから取り出したミラーで覗き見ると、
黒っぽい迷彩服に耳当て帽子という
いかにもロシアの特殊部隊といったイデタチの3人が
地下室へと通じるドアの鍵を開錠しようとしているところだった。
ふたりは屈強な外国人男性だけど、もう一人、
小学校高学年、もしくはせいぜい胸の発育の悪い
中学1年生程度にしかみえないツインテールの金髪少女。
なんなのこの変な組み合わせは?
つづく