「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その15
「!? 今なんと言ったのです?」
全員が一斉に発言したタチアナ皇女大佐の方を振り向く。
「――このことは、教皇と
枢機卿のごく一部しか知らないんだけど、
オスマントルコに攻められて
1453年にコンスタンチノープル陥落した時に、
教皇みずから特異点を封印したらしいの。
今は第三契約者たちのモスクになっているアヤソフィアの地下に、
特異点があるって、お父様から聞いてる」
「コンスタンチノープル=現イスタンブール…。
第三契約者の支配する聖地のひとつ――」
タチアナさんの情報を検証するように、
音音さんが呟き始める。
「音音がトランス状態になったのです。
ああなったら
きっと妙案が浮かぶはずなのです」
こちらを振り向いた瑞葉ちゃんが安心したように言う中、
目を瞑った音音さんのトランス状態は
さらに深くなっていく。
「最後の予言者の教えに従い、
厳しい戒律を守る第三契約者――。
15億とも言われる信者数は
最大勢力の第二教徒といえども無視できない。
今のところ、
経典の民として、
第一、第二契約者や、
修行により覚醒者を目指す解脱教徒とことを構える気は無ない…。
世界のバランスは、
現状において辛うじて保たれている…」
「敵のど真ん中に出るよりはましですか…」
と誰かが言うのに、
「マシどころではないのですわ!
策は成りました。
これ以上は望めない場所です!
急ぎ結絵ちゃんたちと合流して、
イスタンブールから全員で帰還しますわ!」
とにんまりしながら指を立てた。
つづく




