「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その7
私たちもゲートをくぐると、
しばらくはほんの少し前しか見えない状況がしばらく続いたあと、
不意に視界が開けた。
ぼやっとした薄明かりの中、
ところどころに木の生えているものの、
赤茶けて広陵とした大地が広がっている。
「最後尾、隠神先生いますね~!」
「おう、全員いるぞー」
音音さんが確認すると、
隠神先生から答えが返ってくる。
「リコーンが追ってくる可能性が大きいですわ。
ここは二手に分かれて…」
そう話している途中に、
急に特異点内部で放電現象が起き、
ぎゅーっと収縮していくと、
そこにはもう何もなくなっていた。
「閉じちゃった…」
騒然とする一同に、
「これは岩屋洞窟側が破壊されたに違いないのです…」
と瑞葉ちゃんが冷静な分析をする。
「オモイカネ全然使えない…」
「飛鳥たちは大丈夫かな?」
などと、ざわざわとする中、
「じゃあ、いったいどうやって帰るの?」
そう質問した私に、瑞葉ちゃんが答えてくれる。
「こちらのジェネレータを修復すれば、
西御門に特異点を再構築することが可能なのです。
ただ海兵が江ノ島に入り込んだということは…」
「西御門にもアメリカ南部連合が侵攻した可能性が高いってことですね」
「葛葉さまたちの不在をかぎつけたんですわ…。
こちらはばれないように、
全部隊で陽動作戦までしてるのに…」
いつもイケイケな音音さんも、
万策尽きた感じで考えこんでしまった。
つづく




