「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その25
体をふたつに折って苦しんでる涅芭陀をよそに、
「早く詳細を決めて幽冥世に出発しましょうっ!」
と叫ぶと、
それを受けて音音さんがミーティングを進行する。
「では、幽冥世には、
熊野小太郎、タチアナ皇女大佐、
細川凪、涅芭陀を加えた13名で赴くことにしますわ。
特に異論はございませんわね、
――では瑞葉、向こうの様子を簡単に説明して頂戴」
プロジェクターに画像が写し出される。
「幽冥世ですけど、
とてつもなく巨大な洞窟だと思ってください。
私たちの目指すジェネレーターは、
ここ、東側にあるのです。
向こうでは年中うす曇で、
温暖湿潤なので、バックパックの標準装備があれば、
特に装備は必要ないのです。
問題は、セカンドの息の掛かったアヤカシが、
どの程度いるかということなのです」
そこで一息ついて室内を見回すと、
再びしゃべり始める。
「以前エルサレムとバチカンにもあった
幽冥世への入り口も今は安定しておらず、
第一契約者や
第二契約者たちの
大掛かりな増援は難しいと推察されるのです」
室内に少しほっとした雰囲気が流れると、
それを否定するように、
「ただ、数が少ないかわりに、
強力な者が送りこまれているはず…。
油断は禁物なのです」
と瑞葉が言った。
「ジェネレータを再起動できれば、
その周囲10kmも含めて結界が張られるので
当方の勝利なのです」
「じゃあ、一刻も早く言ったほうがいいって
いうことだね」
瑞葉ちゃんの言葉を引きついだ結絵ちゃんは、
「じゃ、このまま出かけよう。
問題のある人は?」
と言って室内を見回す。
「大丈夫みたいね。
じゃ、隠神先生、
マイクロバス校庭に回してください。
留守番部隊は周囲の警戒を強化してね。
これが終われば、戦争はおしまい。
帰ってきたら盛大に宴会しましょう!」
おおっ! という答えが返ってくると、
「それじゃあみんな、
張り切って状況開始っ!」
と言って部屋から出て行った。
つづく




