「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その23
「ボクに汚名を雪ぐ機会を与えてくれて感謝する。
あの当時、
ボクの方が弾正尹 としてふさわしいと思っていたボクは、
間違いなく増上慢だった。
それは今の決定ひとつとってもよく分かる。
弾正尹 は彼女のように大きな器でなくては務まらない。
ボクは僕自身の名誉にかけて、
弾正尹を助け参らせることを誓う」
「私も弾正尹に感謝すると同時に、
ツアーに連なる高貴な青き血にかけて
あなたを助けることを誓うわ!」
うらやましい…自分にも力があれば、
あのふたりのように幽冥世に行っても戦えるのに…。
そう思っていたのが表情に出ていたのか、
瑞葉ちゃんが、
「おぬしも行きたいのか?」
と聞いてきた。
「それはもちろん…」
だけどアヤカシと戦えるような
不思議な力はないし、
我を通しても
足でまといになるだけのは分かってる。
「力が無いから…か?
だったら私が力を分けて差し上げるのです」
瑞葉ちゃんはそう言うと、
私の手に金属製の器具を嵌める。
「これは鉄甲という沖縄の
打撃用の武器なのです」
握って見ると外側には
なぐったら如何にも痛そうな
3つの突起が出ていた。
「私の傍ならは、
霊力の守護により
アヤカシにでも痛撃を与えられます」
しっくりと手になじんで、
なんだか力がみなぎってくるような気がした。
これなら足手まといにならずに
戦うことができそう。
「オ、オレにもその力を貸してくださいっ!」
隣で話を聞いていたネバダがふいに立ち上がってそういうと、
みんなの視線がいっせいにこちらに集まる。
そんな衆人環視の中、ネバダは私の手を掴んで、
「凪が在住を護りたいように、
オレは凪のことを護りたい。
だからその力をオレにもっ…!!」
と顔から火が出そうなことを懇願した。
つづく




