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「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その22
「救世主の処刑を裁可した男、
ピラトの2000年にも及ぶ記憶が
小太郎、あなたの一部には間違いなくある。
それがどう転ぶかわからないのに、
失敗のゆるされないミッションに
参加させるわけにはいかないですわ」
更に反対の要素をあげる音音だったが、
それを制すように、
「タチアナにも小太郎にも
手伝って貰おうよ」
と言ったのは結繪ちゃんだった。
「だってもともと戦力には入ってなかった二人が手伝ってくれれば、
作戦成功の確率だって上がるでしょ?」
「大佐はリベラルアメリカの…」
そこまで言いかけた音音さんの表情から、
ふっと険しい気配が消えた。
「いいえ、分かりました。
そうですわね。
結繪ちゃんが決めたことなら
無条件でしたがいますわ」
「――そんなに簡単に決めていいの?」
あまりにも意外だったのだろう、
本来反対する理由がないタチアナが、
逆に質問してる。
音音ちゃんは笑いながら、
「弾正府のTOPということもありますわ。
私と結繪ちゃん、
3歳のときからのお付き合いですけど、
結繪ちゃん、
こういう決断を間違えたこと
ありませんもの」
とこともなげに言った。




