「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その19
「んー、私。
人に教わるのも教えるのも苦手なんだよねー」
「凪ねえ、そんなこと言わないで教えてよ…」
「……仕方ないな。
でも最初は基礎体力作りからだよ?」
なんて話をしてたら、
急に辺りがまばゆい光に包まれていく。
ぽんっ、という何かがはじけるような 音がしたあと光が収まると、
そこには結繪ちゃんたち4人が立っていた。
「結繪ちゃん!」
音音が走りよると、
「大丈夫ですか?」
と聞く。
「うん。今回は耳も生えてないし。
どこも問題ないみたい」
そう答える結繪ちゃんの後ろから、
葛葉さまが聞いてきた。
「ねえねえ、音音さん!
あのお二人、姉弟なのになんだかとってもラブラブな感じなのです~」
「そうですわね。
端から見ても結構いい雰囲気ですわ。
でもでもですわっ!
あのふたり実の姉弟ではございませんの」
と音音ちゃんは葛葉さまを煽るように答える。
「そうなの!?」
「ええ、凪さんはウチの諜報部の細川潮少佐の実の娘さんですけど、
在住さんは潮少佐の再婚相手、
陸自の細川中佐の息子さんですわ。
それなのにあの<リア充爆発しろ!>並の仲の良さは異常ですわ」
音音さんがいかにもゴシップ大好きといった感じで
さらに目を輝かせて続ける。
「ですが、
凪さんの恋人はあのOh! SUMOUの涅芭陀関ですわ」
音音さんがどや顔で答えた。
「えええっ! 涅芭陀関のっ!?
私ファンなのです~!」
驚く葛葉に音音がたたみ掛ける。
「もっと驚く秘密は、
凪さんがあの<バトルTOKYO>だということですわっ!」
「きゃーっ!
凪さんがバトルTOKYOさまなの!?
私、サイン欲しい!」
「私も!」
なんだか私のプライベートがダダ漏れになってる気がする。
しかも情報源は実の母…。
「では、無事に帰ってきたらいただくことにしましょうか?」
「そうですわね」
「そのときはお願いね、凪さん」
こちらを向いた結えさんたち4人に、
恥ずかしくて答えに窮していると、
在住に肘でわき腹をつつかれた。
「ほら、凪ねえ」
「は、はい。
そのときは必ず…」
サインなんかいくらでも書いてあげるから、
必ず無事に帰ってきてと願った。
つづく




