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「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その18

やっと状況が飲み込めた私が

例の彼女の方を見ると、

すでにお稲荷さまを食べ終わっているようで、

お稲荷さんの味がついた指先を

名残惜しそうになめているとろだった。

挿絵(By みてみん)

「さっき貰った飯綱の珠に

妲己だっきのメモリーを封印したので

もう大丈夫だそうですわ」

横に来た音音さんが状況を教えてくれる。

「--申し訳ないのですれけど、

珠は、在住君の体に戻させてていただきますわ」

「でも…」

と反対しようとした私に、

在住が割って入ってくる。

「凪ねえ、これは細川家の直系男子のボクにしかできないんだよ。

ボクはいままで平凡な…ううん、

何でもできる凪ねえと違って、

平凡すぎる時間を生きてきた。

でも、ボクが生まれた意味ってなんだろうって

ずっと考え続けてたんだ。

人には”分”っていうものがあるでしょう?

高望みはしないけど、

ボクの使命はこの珠を使いこなせるようになること、

それを目標にするってことでいいんじゃないかな?

ラッキーなことに、

珠を保存することはなんの問題も無くできるみたいだし…」

「在住…」

「だから、ね、凪ねえ、

今は見守ってて欲しいんだ」

「…ても……」

ずっと私の後ろにいるんだと思ってた在住…。

父と母の再婚が決まって初めて会った時、

私が面倒見るんだよと言われて

それ以来ずっと護ってきた。

そんな在住が自分の足で歩こうとしてるのなら、

私が邪魔することは許されない。

「…在住……そう………決めたんだ…」

在住の目を見ながら考えていた私がそう聞くと、

「うん…」

と返事をした在住が頷く。

「でも、まだひとりじゃどうしようもないから、

せめてみんなの足でまといにならないようになりたい。

だから凪ねえに体術とか教えてもらわないと…」

半分は本気なんだろうけど、

半分は私に気を遣っての発言かな?

この子、いつの間にこんなに成長したんだろうと思うと、

嬉しいような、なんだか在住が離れていってしまいそうな

不思議な感じにとらわれた…。


つづく

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