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「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その13
それにしても、
壁や天井は百足でいっぱいかと思うといただけない…。
相手が生身の男性とかなら
それなりに対処するすべもあるんだろうけど、
虫とか昆虫とかインセクツとか得体の知れないモノとなると話は別。
目の前の静葉さまの着物につかまりながら、
迷宮の奥へと進んでいく。
進む先のほうに小さな灯り見える。
もうちょっとなのかなとちょっと安心したそのとき、
動くモノの気配がして振り返ってみると、
最後尾を歩いている三輪さんの後ろに
赤い光がふたつ浮かんでいるように見える。
ズルズルという何かを曳きずるような音が聞こえ、
何かが近づいてくる――っ!?
一瞬身を硬くすると、
「…凪さん…?
あれは三輪の飼っている大蛇ですからご安心を…」
と私の緊張を察した高橋さんが教えてくれる。
見ていると、
三輪さんの横に近づいてきた大蛇は
その大きな頭の横を撫でられていた。
ほっとしたのもつかの間、
一瞬ゾクッという感覚が走ると、
「幽冥世に行く云々の前に、
葛葉ねえさまの中にいる母さまをなんとかしないと
いけないですわね…」
と静葉様が、さも大変という感じでつぶやいた。
つづく




